グリーンハウス株式会社

産後に便秘しやすい原因と対処法!授乳中の便秘予防・改善方法は?

最終更新日:2024.2.1

産後に便秘しやすい原因と対処法!授乳中の便秘予防・改善方法は?

妊娠中に便秘で悩まされたママも多いのではないでしょうか?実は、出産後もしばらくは便秘になりやすい時期が続くんです!

今回は、出産後に便秘しやすい原因や、便秘になった時の対処法、便秘予防に効果的な方法などをご紹介します。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

産後は便秘になりやすい?

妊娠・出産に伴って女性の体は大きく変化し、「マイナートラブル」と呼ばれる不調に見舞われます。

出産後は、赤ちゃんが中心の毎日となり、生活リズムもそれまでとは全く違うものに。慣れない状況が続くことによって、肉体的にはもちろん、精神的にも様々な影響が表れます。便秘も、その症状の一つだと言えるでしょう。

産後1カ月の母親269名に産後の症状について尋ねたアンケートでは、最も多いのが睡眠不足で94.8%(255名)、次いで肩こりが91.1%(245名)、腰痛83.6%(225名)、全身倦怠感78.1%(210名)と続き、便秘の症状があると回答した人は74.3%(200名)でした(※)。

この結果からも、便秘は出産後に多い症状であることが分かります。

産後1カ月の身体症状

※:岡山美織, 池内和代, and 赤松恵美. "産後1ヵ月の母親の心身の状態, 精神的回復力に関する実態調査." 高知大学看護学会誌 12.1 (2018): 39-48.

産後便秘の原因

出産後に便秘になりやすい原因として、妊娠・出産、育児にまつわる様々な影響があげられます。

骨盤底筋が弱くなっている

骨盤底筋とは、骨盤の最も底の部分に存在する筋で、膀胱や子宮、直腸が正常に働くよう機能しています。しかし、女性の骨盤底筋は妊娠・出産によって筋が伸びたり、分娩時に裂傷を負ったりすることで、機能不全に陥る場合が少なくありません(※1)。

骨盤底筋が弱くなっている

骨盤底筋が衰えると、排便時に本来は弛緩すべき骨盤底筋が弛緩せず、逆に収縮してしまい快適な排便を妨げます。この状態は骨盤底筋協調運動障害と呼ばれ、便秘症が引き起こされる原因の一つです(※2)。

会陰切開や帝王切開の傷による影響

出産時に会陰が大きく裂けてしまうのを防ぐ目的で、あらかじめ切開しておくのが「会陰切開」です。

出産後、会陰切開や帝王切開による傷が痛んだり、排便のためにいきむことで「傷が裂けるのでは」と不安に思ったりすることで排便に対して恐怖心や不安を抱き、便意が起きても我慢して便秘が悪化する場合があります。

水分不足

母乳で赤ちゃんを育てている場合、体内の水分が母乳によって大量に奪われます。体内が水分不足になると便が硬くなり、腸内で滞留して排出困難に。

さらに、硬い便を排出する際に肛門が傷を負って切れ痔になり、切れ痔による痛みを回避するために便意を我慢して、便秘が悪化するという悪循環に陥ります。

母乳の影響による水分不足

自律神経の乱れ

出産後は、ホルモン分泌の変化によって自律神経がバランスを崩しやすくなります。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、日中は交感神経が働いて活動的になり、夜は副交感神経が優位になってリラックスモードに。その2つの自律神経が切り替わることで、内臓代謝やホルモンバランスなどあらゆる身体機能が正常に働くのです。

しかし、出産後は交感神経が優位になりやすいため、夜になっても興奮・緊張状態が続いてリラックスできません。副交感神経には眠っている間に腸の蠕動運動を行ない、排便を促進させる作用があります。しかし、交感神経が活発なままでは消化が妨げられ、便秘になりやすくなるのです。

便意を我慢することが続く

赤ちゃんが生まれると、赤ちゃん優先の生活となります。そのため、便意を感じてもすぐにトイレへ行けず我慢することが多くなるでしょう。

便意の抑制を繰り返すことで、便が直腸に到達しても便意を感じない「直腸性便秘」を起こしやすくなります(※3)。

赤ちゃん優先で便意を我慢することが便秘の原因に

※1:山本綾子. "骨盤底筋の動きをとらえる─ 筋電図を用いた評価と治療─." 理学療法学 Supplement Vol. 46 Suppl. No. 1 (第 53 回日本理学療法学術大会 抄録集). 日本理学療法士協会 (現 一般社団法人日本理学療法学会連合), 2019.

※2:味村俊樹. "骨盤底筋協調運動障害を呈する便排出障害型便秘症に対する直腸バルーン排出訓練によるバイオフィードバック療法の効果に関する検討." バイオフィードバック研究 38.1 (2011): 43-50.

※3:高井郁美, et al. "妊産婦の便秘と対処法に関する実態." 石川看護雑誌 11 (2014): 103-110.

産後の便秘はどれくらいの期間、続く?

産後の便秘がいつまで続くのか、不安になりますね。

妊娠期から産褥期の自律神経活動と心拍数の推移を調査した研究では、産後1カ月で妊娠していない時の自律神経状態に回復しつつある、もしくは回復していることが推測される結果が報告されています(※1)。

また、55名の出産後の女性を対象に骨盤底筋強度を調べたところ、産後3~8日で大幅に低下するものの、ほとんどの女性では産後2カ月以内に回復することが報告されています(※2)。

これらの結果から、産後の便秘は2カ月程度続くと考えられるでしょう。しかし個人差が大きいため、あくまで目安程度として捉えた方が良さそうです。

※1:和泉美枝, et al. "妊娠期から産褥期の自律神経活動の推移." 女性心身医学 24.2 (2019): 149-156.

※2:Peschers UM, Schaer GN, DeLancey JO, Schuessler B. Levator ani function before and after childbirth. Br J Obstet Gynaecol. 1997 Sep;104(9):1004-8. doi: 10.1111/j.1471-0528.1997.tb12057.x. PMID: 9307525.

産後のつらい便秘を改善する方法!おすすめの対処法

便秘が続くと、腹部の不快感や膨満感、吐き気などの症状が出る場合が少なくありません。また、腸内環境が悪化すると、メンタル面にも良くない影響が出ることが分かっています。

すぐに実践できる便秘改善法をご紹介しますので、試してみてくださいね。

骨盤底筋トレーニングを行う

出産によってダメージを受けた骨盤底筋を鍛えて機能改善することで、便を押し出す筋力が回復して便秘解消が期待できます。また、出産後の女性に多い尿漏れ予防にも役立ちます(※1)。

  • 骨盤底筋トレーニング

    1. 仰向けに横たわり両膝を立てて肩幅程度に開く
    2. 膝と肩が一直線になるイメージで腰を持ち上げる。この時、反り腰にならないように注意する
    3. 肛門および膣と尿道を締めることを意識して、息を吐きながら10秒間キープする
    4. 背中の上の方からゆっくりと腰を下ろして、全身の力を抜く
    5. 10回を1セットとして、1日2~10セットを目標に実施する
  • ※最初はキープする時間を5秒にしたり、回数を減らしたりして徐々に慣れていきましょう

  • 骨盤底筋トレーニング

食物繊維を摂取する

食物繊維には、便の量を増やしたり、腸管の水分量を調整したりする作用があります。スムーズな排便のためには欠かせない栄養素であり、1日あたり20g~25gの摂取が推奨されています(※3)。

千葉県松戸市の保健センターへ1歳6カ月児健診に来た女性328名(平均年齢33.9±5.5歳/妊婦・授乳中の女性を除く)を対象に食事・生活習慣に関する調査を実施したところ、主食・主菜・副菜が揃った食事を1日2 回以上とっている人は38.4%でした。

この数値は、平成27年国民健康・栄養調査における20~30歳代女性の52.7%を下回っています。

また、野菜や食物繊維、カルシウムの摂取量が少なく、食物繊維においては目標量を下回っている人の割合が87.2%にのぼりました(※4)。

出産後は赤ちゃんのお世話で、自分の食事にまで手が回らず簡単なもので済ませることが多くなりがちです。しかし、便秘予防のためにも食物繊維が豊富な食べ物を積極的に摂るようにしましょう。

食物繊維を摂取する

こまめに水分補給する

授乳中は体内の水分量が不足して便が硬くなり、便秘が悪化しやすくなります。

授乳中の水分摂取量は通常よりも多く、1日2ℓ~2.5ℓが目安です。少量ずつこまめに飲んで、不足した水分を補いましょう。便秘解消には、朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲むと効果的です。

軽い運動で腸に刺激を与える

体をねじる動きは腸に刺激が加わり、便の排出が促されます。ただし、産後の体は大きなダメージを受けているため、体に負担にならないよう無理なく出来る動きにとどめておきましょう。

自宅でできる軽いストレッチやヨガなら、リラックスもできて一石二鳥。リラックスして副交感神経が優位になれば、睡眠の質が向上して腸の蠕動運動も促進されます。

軽い運動で腸に刺激を与える

※1:眞島美穂, et al. "骨盤底筋体操を取り入れた女性の健康づくり教室の成果." 理学療法学 43.5 (2016): 412-419.

※2:万行里佳. "加齢に伴う消化・吸収・排泄機能の変化." 理学療法学 48.6 (2021): 636-642.

※3:細田誠弥. "生活習慣と排便異常." 順天堂医学 50.4 (2004): 330-337.

※4:高橋佳子, et al. "子育て期の母親を対象とした食事・生活習慣調査の結果概要-健康日本 21 の地方計画策定にかかる 「栄養・食生活」 分野における健康教育評価に関する研究." 和洋女子大学紀要 60 (2019): 113-124.

授乳中に便秘薬を飲んでもいい?赤ちゃんへの影響は?

便秘解消につながる生活習慣を実践したり、食物繊維が豊富な食べ物を摂取したりしても改善しない場合、便秘薬の服用を考える人もいるのではないでしょうか?しかし、授乳中に薬を飲むのは赤ちゃんへの影響が心配ですよね。

便秘薬には色々な種類がありますが、授乳中でも安全性が高いと考えられているのが酸化マグネシウムです。

酸化マグネシウムは便に水分を含ませて柔らかくし、排便しやすい状態にして自然なお通じを促します。体内にほとんど吸収されないため、授乳中に飲んでも赤ちゃんへの影響がない便秘薬として広く用いられています。

酸化マグネシウムの便秘薬

逆に、大腸を刺激して排便を促す作用があるセンノシドが配合された便秘薬は、授乳によって赤ちゃんに下痢の症状を引き起こしたとの報告があり、使用を控えることが望ましいとされています(※)。

授乳中に薬を服用した場合、赤ちゃんに何らかの影響が出る可能性も考えられるため、市販の便秘薬を自己判断で飲むのはやめましょう。便秘が続く場合、まずはかかりつけの病院や担当医に相談することをおすすめします。

※:横張英子, 岡崎昌利, and 千堂年昭. "薬物相互作用 (13―下剤の薬物相互作用)." 岡山医学会雑誌 120.2 (2008): 223-226.

出産後のママの体はデリケート!適切なケアで快適なお通じを

今回は、出産後のママに多い便秘の原因や対処法などについて解説しました。

妊娠・出産は、女性の体に大きな影響を与えて通常とは異なる不調を招きます。出産によって体は大きなダメージを受け、メンタル面では育児によるストレスや不安感、睡眠不足でいっぱいになることもあるでしょう。

ストレスは自律神経が乱れる要因であり、自律神経の乱れは便秘の原因となります。

出産後のママの体はデリケート!適切なケアで快適なお通じを

ゆっくりリラックスできる時間を確保するのは難しい時期ですが、無理のない範囲で出来るケアを実践して便秘改善を目指しましょう。

生きたまま腸に届くビフィズス菌とオリゴ糖で、便秘のお悩みを解決するサプリメント >>詳しく見る

ビフィズス菌の力で、便通を改善
おすすめ記事