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ストレスで便秘や下痢になる原因は?解消法や予防法もご紹介

最終更新日:2024.3.5

ストレスで便秘や下痢になる原因は?解消法や予防法もご紹介

ストレスが便秘の原因になることを知っていますか?

腸と脳が互いに影響を与えあうことを「脳腸相関」と呼び、ストレスや抑うつ状態などによって腸内環境が悪化することや、逆に腸内環境が乱れることで心が不安定になったり、不眠になったりすることが指摘されています。

そこで今回は、ストレスと便秘の関係や解消方法、便秘や下痢の症状を引き起こす「過敏性腸症候群」について詳しくお伝えします。

「便秘の原因が分からない」という人は、もしかするとストレスの蓄積が原因かもしれません。思い当たることがないか、最後まで読んでチェックしてみてくださいね。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

便秘・下痢とはどのような状態?

そもそも、便秘・下痢とはどのような状態を指すのでしょうか?

便秘とはどのような状態?

排便のペースは個人差が大きく、「〇日以上排便がなければ便秘である」というように明確な基準はありません。

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」によると、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」

下痢とはどのような状態?

下痢は「日に3回以上の軟便か水様便」と定義されています。

または1日の便に含まれる水分量が200ml以上、もしくは1日の便の重さが200g以上となった状態も下痢と定義されています。

ストレスがたまると便秘や下痢になる理由

ストレスが原因で便秘や下痢になることは、決して珍しいことではありません。

人によっては、緊張や不安を感じた時に腹痛を起こして下痢になることもあるのではないでしょうか。

しかし、便秘や下痢に関する悩みは周囲の人にはなかなか相談しにくいもの。そのためなのか、インターネットの質問サイトではストレスと便秘の関係についての疑問が目につきます。

ストレスで便秘になることってありますか???
私は学校がある平日などはほとんど出なくて土日にしか出ないんですけど原因が思い当たるのがストレスくらいしかありません。便秘薬を飲んでもあまり出ないレベルで悩んでいます。

引用元:Yahoo知恵袋

ストレスで便秘になったりしますか?
今日で便秘5日目です。出る気配もないので明日出なかったら下剤飲もうと思ってます。

引用元:Yahoo知恵袋

ストレスは下痢になりますか?
それとも便秘になりますか?
調べてみたら下痢になるとも便秘になるとも書いてあったのですがどちらなのでしょうか?
今日で便秘5日目です。出る気配もないので明日出なかったら下剤飲もうと思ってます。

引用元:Yahoo知恵袋

それでは、なぜストレスによって便秘や下痢が引き起こされるのか、その理由を挙げていきましょう。

自律神経の乱れ

スムーズな排便に必要なのは、正常な腸管運動です。

腸管運動をコントロールしているのは自律神経であり、自律神経には交感神経と副交感神経があります。

この2つの神経系がバランス良く働くことで、代謝や消化など体の機能が滞りなく行われるのです。

しかし、自律神経はストレスによってバランスを崩しがち。交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいかなくなると便通異常が発生し、便秘や下痢になります。

自律神経

便秘にはいくつかの種類がありますが、ストレスが原因の便秘に多いタイプが「痙攣性便秘」です。

痙攣性便秘は“ストレス性便秘”とも呼ばれ、ストレスによって蠕動運動が活発になりすぎて腸の一部が痙攣を起こし、便秘になります。

痙攣性便秘は、兎の便のように硬くて丸っこいコロコロ便が出やすくなるのが特徴です。

また自律神経の乱れにより腸の蠕動運動が過剰になると、便からの水分吸収が不十分なまま早く通過してしまうため、下痢・軟便の原因にもなります。

腸内環境の乱れ

ストレスは「腸内フローラ」と呼ばれる腸内細菌叢に影響を与えることが、様々な疫学調査により明らかになっています。

胃腸は、腸管粘膜バリア機能によって病原菌などの侵入を防いでいますが、この機能はストレスによって簡単に脆弱化してしまいます。

腸管粘膜バリア機能が弱くなると、腸管粘膜の炎症や異物の侵入・ 吸収、異物に対する免疫反応が発生。便秘や下痢だけでなく、腸内細菌に関連する疾患の病態が進行すると考えられます(※1)。

ストレスによる腸内環境の乱れにより腸管粘膜バリア機能が低下

また、アメリカNASAで行われた宇宙飛行士と腸内細菌との関係を調べた調査で、極度の緊張と不安にさらされている時には、腸内に悪玉菌であるバクテロイデス菌が増加していたという報告もあります(※2)。

腸内細菌叢を構成しているのは、乳酸菌やビフィズス菌に代表される善玉菌、ウェルシュ菌やブドウ球菌などの悪玉菌、バクテロイデス菌といった日和見菌です。

理想的なバランスは、善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌7割とされています。

しかし、ストレスの蓄積により腸内細菌の構成バランスが崩れて悪玉菌が増殖すると、腸内環境が乱れて便秘や下痢が悪化すると考えられるでしょう。

※1:本郷道夫. "腸内細菌と精神神経疾患からみる腸脳相関." 心身医学 62.6 (2022): 451-457.

※2:藤田紘一郎. "こころとからだの免疫学—腸内細菌の働きを中心に—." 心身健康科学 8.2 (2012): 69-73.

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過敏性腸症候群とは?どんな症状がある?

ストレスによる便秘や下痢が続く場合、「過敏性腸症候群(IBS)」が隠れている場合があります。

  • 過敏性腸症候群(IBS)

    • 過敏性腸症候群(IBS)は「機能性消化管障害(FGID)」の一つです。胸部から腹部において不快な症状が頻繁に生じるものの、症状の原因となる異常を発見できない疾患を指します。

過敏性腸症候群の診断基準としては、Rome基準が用いられます。

  • 過敏性腸症候群(IBS)の国際的な診断基準 RomeⅣ(2016年発表)

  • 最近3カ月間、月に4回以上腹痛が繰り返し起こり、次の項目の2つ以上があること。

    1. 排便と症状が関連する
    2. 排便頻度の変化を伴う
    3. 便秘と下痢を交互に繰り返す「交替型」
    4. 便性状の変化を伴う
  • 期間としては6カ月以上前から症状があり、最近3ヵ月間は上記基準を満たすこと

日本人の過敏性腸症候群(IBS)の有病率は高い

日本人における過敏性腸症候群(IBS)の有病率は世界的に見ても高く、ある調査によると成人男性は12.9%、成人女性は15.5%が過敏性腸症候群でした。

また、インターネットを介して実施した調査では20代の有病率が最も高く、男性は14%、女性では22%にも上っています(※)。

先進国での過敏性腸症候群の有病率は5~11%であるため、日本人の有病率がいかに高いかが分かります。

ストレス性便秘を解消するには?便秘を治す効果的な方法

ストレスによる便秘を解消するには、ストレスの原因を取り除くのが一番です。

しかしストレスの原因は千差万別であり、そう簡単に解決できる問題ではないでしょう。

そこで、便秘解消に効果的な生活習慣や食生活をご紹介します。ストレス発散とともにこれらの便秘解消法を実践することで、ストレス性の便秘改善に効果が期待できます。

毎日の生活リズムを整える

朝起きる時間や夜寝る時間、食事の時間など毎日の生活リズムがバラバラな人は、体内時計も乱れがちです。

体内時計が乱れると自律神経のバランスが崩れやすく、便秘の原因に。

起床・就寝時刻や食事、入浴のタイミングを出来るだけ毎日同じ時間に揃えることで、体内時計が一定になり自律神経が整うでしょう。

毎日の生活リズムを整える

食物繊維を積極的に摂る

便秘には、食物繊維不足も関係しています。

特に、糖質ダイエットでお米などの炭水化物を食べないようにしている人は食物繊維が不足しているかもしれません。

穀物には食物繊維が豊富なため、炭水化物を控える場合は代わりに食物繊維の多い食べ物を摂るようにしましょう。

腸内環境を整える食べ物を積極的に摂る

腸内環境を改善するには、ビフィズス菌などの善玉菌が含まれた食べ物と、オリゴ糖や食物繊維といった善玉菌のエサとなる食べ物を両方摂るのが効果的です。

白砂糖の摂取を控える

白砂糖の摂取量が多いと、体温が低くなると言われています。

低体温は腸内環境が悪化する原因の一つです。便秘の人は、白砂糖の過剰摂取を控えるようにしましょう。

ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を毎日行う

運動不足の人は腸への刺激が足りないために蠕動運動が十分に行われず、便秘を招いている可能性も。

ウォーキングやストレッチなど軽めの運動を毎日続けるようにしましょう。

毎日の生活リズムを整える

睡眠の質を高める

睡眠中は副交感神経が優位になり、腸の蠕動運動が促進されて消化・吸収が行われます。

そのため、寝不足や眠りが浅いなど睡眠の質が低下していると蠕動運動が十分に行われず、便秘になりやすくなります。

睡眠の質を高めるためには、生活リズムを一定にして自律神経を整えたり、“睡眠ホルモン”とよばれるメラトニンの原料となるセロトニンを増やしたりすることが効果的です。

ストレスによる便秘や下痢を解消して気持ち良い毎日を

今回は、ストレスと便秘や下痢の関係や解消法、過敏性腸症候群などについてお伝えしました。

腸と脳には深い関係があり、特に過敏性腸症候群については、ストレスによる腸内細菌叢の変化と便通異常(下痢・便秘)の悪循環が発症原因の一つであり、ストレスは悪玉菌を増加させて善玉菌を減少させることが指摘されています(※1)。

>ストレスは悪玉菌を増加させて善玉菌を減少させる

セロトニンと腸内環境の関係

“幸せホルモン”の呼び名で知られる神経伝達物質「セロトニン」は、大部分が腸で合成されます。

セロトニンは、食べ物に含まれるアミノ酸の一種「トリプトファン」を摂取しなければ合成されません(※2)。

セロトニンの合成には、トリプトファンに加えてビタミンB6やナイアシン、葉酸などのビタミンも必要です。

これらのビタミンを合成しているのが腸内細菌であるため、腸内環境が悪化して細菌のバランスが崩れている場合、セロトニンの合成が阻害されるということになります(※3)。

セロトニンが不足した場合に表れる症状は、不眠や抑うつなどです。このことからも、腸と心の健康状態には密接な関係があることがうかがえます。

>セロトニンと腸内環境の関係

規則正しい生活やバランスの取れた食生活、運動習慣を実践して、ストレスによる便秘を解消して心地良く過ごせる毎日を目指しませんか。

生活習慣や食生活を改善しても便秘が解消されない場合は、専門医や医療機関への相談をおすすめします。

※1:川野直子, et al. "ストレスレベル別便秘傾向者に対する発酵乳の飲用効果." 栄養学雑誌 70.1 (2012): 3-16.

※2,3:藤田紘一郎. "こころとからだの免疫学—腸内細菌の働きを中心に—." 心身健康科学 8.2 (2012): 69-73.

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