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ストレスで便秘や下痢になる原因は?解消法や予防法もご紹介

最終更新日:2025.07.09

ストレスで便秘や下痢になる原因は?解消法や予防法もご紹介

ストレスが便秘の原因になることを知っていますか?

腸と脳が互いに影響を与えあうことを「脳腸相関」と呼び、ストレスや抑うつ状態などによって腸内環境が悪化することや、逆に腸内環境が乱れることで心が不安定になったり、不眠になったりすることが指摘されています。

そこで今回は、ストレスと便秘の関係や解消方法、便秘や下痢の症状を引き起こす「過敏性腸症候群」について詳しくお伝えします。

「便秘の原因が分からない」という人は、もしかするとストレスの蓄積が原因かもしれません。思い当たることがないか、最後まで読んでチェックしてみてくださいね。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

便秘・下痢とはどのような状態?

そもそも、便秘・下痢とはどのような状態を指すのでしょうか?

便秘とはどのような状態?

排便の回数には個人差があり、「〇日以上出なければ便秘」といった明確な基準はありません。

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では、次のように定義されています。

  • ▶︎ 本来体外に排出すべき糞便を
  • ▶︎ 十分量かつ快適に排出できない状態
便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」

下痢とはどのような状態?

下痢は、以下のいずれかに該当する状態を指します。

  • ▶︎ 1日に3回以上の軟便または水様便
  • ▶︎ 1日の便の水分量が200ml以上
  • ▶︎ または便の重さが200g以上

ストレスがたまると便秘や下痢になる理由

ストレスが原因で便秘や下痢になることは、決して珍しいことではありません。

人によっては、緊張や不安を感じた時に腹痛を起こして下痢になることもあるのではないでしょうか。

しかし、便秘や下痢に関する悩みは周囲の人にはなかなか相談しにくいもの。そのためなのか、インターネットの質問サイトではストレスと便秘の関係についての疑問が目につきます。

ストレスで便秘になることってありますか???
私は学校がある平日などはほとんど出なくて土日にしか出ないんですけど原因が思い当たるのがストレスくらいしかありません。便秘薬を飲んでもあまり出ないレベルで悩んでいます。

引用元:Yahoo知恵袋

ストレスで便秘になったりしますか?
今日で便秘5日目です。出る気配もないので明日出なかったら下剤飲もうと思ってます。

引用元:Yahoo知恵袋

ストレスは下痢になりますか?
それとも便秘になりますか?
調べてみたら下痢になるとも便秘になるとも書いてあったのですがどちらなのでしょうか?
今日で便秘5日目です。出る気配もないので明日出なかったら下剤飲もうと思ってます。

引用元:Yahoo知恵袋

それでは、なぜストレスによって便秘や下痢が引き起こされるのか、その理由を挙げていきましょう。

自律神経の乱れ

▶︎ 自律神経は腸の動きと深く関係

排便には、正常な腸管運動が必要です。これをコントロールしているのが「自律神経」で、交感神経副交感神経の2つがあります。

この2つがバランス良く働くことで、代謝・消化・排便といった体の基本的な機能がスムーズに行われます。

▶︎ ストレスでバランスが崩れると?

ストレスは自律神経を乱す最大の要因です。交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、便秘や下痢などの便通異常を引き起こします。

自律神経

▶︎ 痙攣性便秘の原因とは

「痙攣性便秘(ストレス性便秘)」は、ストレスで腸の蠕動運動が強まりすぎて一部が痙攣することで、便の通過が妨げられます。

ウサギのようなコロコロとした硬い便が出やすくなるのが特徴です。

▶︎ 下痢にもつながるメカニズム

また、自律神経の乱れによって腸が過剰に動くと、便が速く通過して水分が吸収されず、軟便や下痢になってしまいます。

腸内環境の乱れ

▶︎ ストレスは腸内フローラに影響

ストレスは腸内フローラ(腸内細菌叢)に影響を与えることが、さまざまな研究で明らかになっています。

胃腸は腸管粘膜バリア機能により病原菌や異物の侵入を防いでいますが、この機能もストレスによって脆弱化してしまいます。

▶︎ バリア機能が弱まるとどうなる?

バリア機能が弱まると、腸粘膜に炎症が起きたり、異物の侵入・吸収が進み、免疫反応を引き起こす可能性があります。 その結果、便秘や下痢、さらには腸内疾患の悪化にもつながると考えられています(※1)。

腸管粘膜バリア機能の低下

▶︎ 宇宙飛行士にもみられた腸内変化

NASAが行った調査では、宇宙飛行士が極度の緊張・不安状態にさらされた際、腸内にバクテロイデス菌(悪玉菌)が増加したという報告があります(※2)。

▶︎ 腸内細菌バランスが崩れると?

腸内には以下のような3種類の菌が存在し、それぞれがバランスをとっています:

  • 善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌など)
  • 悪玉菌(ウェルシュ菌・ブドウ球菌など)
  • 日和見菌(バクテロイデス菌など)

▶︎ 理想的な腸内環境とは?

理想的な菌バランスは善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7の割合です。

しかし、ストレスが続くと悪玉菌が増殖し、このバランスが崩れます。それにより、腸内環境が乱れ、便秘や下痢の悪化が懸念されます。


※ 出典:※1:本郷道夫. "腸内細菌と精神神経疾患からみる腸脳相関." 心身医学 62.6 (2022): 451-457.

※ 出典:※2:藤田紘一郎. "こころとからだの免疫学—腸内細菌の働きを中心に—." 心身健康科学 8.2 (2012): 69-73.

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過敏性腸症候群とは?どんな症状がある?

ストレスによる便秘や下痢が続く場合、「過敏性腸症候群(IBS)」が隠れている場合があります。

過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群(IBS)は「機能性消化管障害(FGID)」の一種で、消化管に異常がないにもかかわらず慢性的な腹部症状が続く疾患です。

主な症状

  • ▶︎ 慢性的な腹痛・腹部不快感、便秘・下痢などの便通異常。排便によって症状が改善される傾向がある。
  • ▶︎ 登校・出勤・会議など、緊張する場面で症状が出やすい。
  • ▶︎ 気分障害・パニック症候群・不安症など、精神的疾患と併発するケースが多い。

※ 出典:北海道医療大学心理科学部研究紀要 13 (2018)

IBSのタイプ(4分類)

  • ▶︎ 便秘型
  • ▶︎ 下痢型
  • ▶︎ 交替型(便秘と下痢が交互に起きる)
  • ▶︎ 分類不能型(どれにも当てはまらない)

男性は下痢型、女性は便秘型が多い傾向にあります。

過敏性腸症候群の種類

※ 出典:The Autonomic Nervous System 59.2 (2022)

国際的診断基準「RomeⅣ」(2016年)

最近3カ月間、月に4回以上の腹痛があり、以下のうち2つ以上が当てはまる場合、過敏性腸症候群と診断されます。

  • ▶︎ 排便と症状の関連
  • ▶︎ 排便頻度の変化
  • ▶︎ 便性状(形状)の変化

※ 診断には過去6カ月間の継続的な症状の存在が条件とされています。

日本人の過敏性腸症候群(IBS)の有病率は高い

国内調査によると、成人男性の12.9%、成人女性の15.5%がIBSと診断されています。

インターネット調査では20代の有病率が最も高く、男性は14%、女性では22%という結果も出ています。

一方、先進国全体のIBS有病率は5~11%程度とされており、日本人の高さが際立っています。

ストレス性便秘を解消するには?便秘を治す効果的な方法

ストレスによる便秘を解消するには、ストレスの原因を取り除くのが一番です。

しかしストレスの原因は千差万別であり、そう簡単に解決できる問題ではないでしょう。

そこで、便秘解消に効果的な生活習慣や食生活をご紹介します。ストレス発散とともにこれらの便秘解消法を実践することで、ストレス性の便秘改善に効果が期待できます。

▶︎毎日の生活リズムを整える

朝起きる時間や夜寝る時間、食事の時間など、毎日のリズムがバラバラだと体内時計が乱れます。

体内時計の乱れは自律神経のバランスを崩し、便秘の原因になります。

  • ● 起床・就寝時間をできるだけ一定にする
  • ● 食事や入浴のタイミングも毎日揃える

これにより体内時計が安定し、自律神経が整いやすくなります。

▶︎食物繊維を積極的に摂る

便秘の原因には食物繊維不足もあります。

特に糖質ダイエットで炭水化物(お米など)を控えている人は注意が必要です。

  • ● 炭水化物を減らす場合は、野菜や豆類など食物繊維が多い食品を意識して摂取する

▶︎腸内環境を整える食べ物を積極的に摂る

善玉菌(ビフィズス菌など)と、そのエサとなるオリゴ糖や食物繊維を両方摂るのが効果的です。

菌とエサをセットで摂ることで腸内環境が整いやすくなります。

▶︎白砂糖の摂取を控える

白砂糖の過剰摂取は体温を低下させる可能性があります。

低体温は腸内環境悪化の原因のひとつ。

便秘の方は白砂糖の摂り過ぎに注意しましょう。

▶︎ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を毎日行う

運動不足だと腸への刺激が不足し、蠕動運動が不十分になり便秘になることも。

軽めの運動を毎日続けることをおすすめします。

便秘解消にウォーキングがおすすめ

▶︎睡眠の質を高める

睡眠中は副交感神経が優位となり、腸の蠕動運動が促進されます。

寝不足や浅い眠りは蠕動運動の妨げとなり、便秘を招きやすくなります。

  • ● 生活リズムを整えて自律神経を安定させる
  • ● メラトニンの原料となるセロトニンを増やすことも効果的

ストレスによる便秘や下痢を解消して気持ち良い毎日を

今回は、ストレスと便秘や下痢の関係や解消法、過敏性腸症候群などについてお伝えしました。

腸と脳には深い関係があります。特に過敏性腸症候群は、次のような悪循環が発症原因の一つとされています:

ストレスによる腸の悪循環

  • ▶︎ストレスにより腸内細菌叢のバランスが崩れる
  • ▶︎悪玉菌が増え、善玉菌が減少する
  • ▶︎腸の働きが乱れ、便秘や下痢などの便通異常が起こる
ストレスで腸の動きが乱れる

セロトニンと腸内環境の関係

“幸せホルモン”の呼び名で知られる神経伝達物質「セロトニン」は、大部分が腸で合成されます。

セロトニンの合成に必要な条件

  • ▶︎アミノ酸の一種「トリプトファン」の摂取(食べ物由来)※2
  • ▶︎ビタミンB6、ナイアシン、葉酸などのビタミン類
  • ▶︎これらビタミンを生み出す腸内細菌の健全なバランス

腸内環境が悪化すると腸内細菌のバランスが崩れ、セロトニン合成が阻害される恐れがあります(※3)。

セロトニン不足で表れやすい症状

  • ▶︎不眠
  • ▶︎抑うつ
  • ▶︎慢性的な疲労感

ストレスによる便秘を解消するのに効果が期待できるのが、以下の生活習慣です。

ストレスによる腸トラブルを防ぐ生活習慣

  • ▶︎規則正しい生活リズムを維持する
  • ▶︎栄養バランスの取れた食事を心がける
  • ▶︎軽い運動を習慣化する

できることから、実践してみましょう。
生活習慣や食生活を改善しても便秘が解消されない場合は、専門医や医療機関への相談をおすすめします。

※1:川野直子, et al. "ストレスレベル別便秘傾向者に対する発酵乳の飲用効果." 栄養学雑誌 70.1 (2012): 3-16.

※2,3:藤田紘一郎. "こころとからだの免疫学—腸内細菌の働きを中心に—." 心身健康科学 8.2 (2012): 69-73.

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾病の診断や治療を意図するものではありません。症状や健康面にご不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門の医師による診断と指導をお受けください。

本記事の内容に起因するいかなる結果についても、筆者および運営者は責任を負いかねますのでご了承ください。