最終更新日:2024.12.04
便秘になると、吹き出物やニキビなどの肌荒れが起こりやすくなります。
今回は、便秘で肌トラブルが起こる理由や、肌荒れの原因となる便秘の解消法について、食品保健指導士・管理栄養士管理栄養士としての立場からお伝えします。
吹き出物やニキビができやすい人や便秘になることが多い人は、肌荒れ解消・予防の参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
便秘が続いて、吹き出物やニキビができた経験がある人も多いのではないでしょうか?
まずは、便秘になると肌が荒れるメカニズムについて解説します。
便秘になると腸内環境が悪化し、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増えます。
悪玉菌は内容物(食べた物)を腐敗・発酵させ、皮膚のくすみや乾燥といった肌トラブルを引き起こすフェノールという化合物や、悪臭を放つアンモニア、アミンなどの有害物質を産生します。
腐敗した内容物(便)から産生された有害物質は、腸壁に吸収されて血液に溶け込み、全身を巡ります。
有害物質が溶けた血液は皮膚にも悪影響を及ぼし、吹き出物やニキビなどの肌荒れを引き起こすのです(※1)。
腸内環境の良し悪しと睡眠の質には、深い関係性があります。
機能性便秘の人は不眠傾向が強く、特に睡眠前半の眠りが浅いことが分かっています(※2)。
肌を美しく保つ成長ホルモンは、睡眠時間の前半で多く分泌されます。
しかし、便秘の人は不眠傾向にあるため、寝つきが悪い、睡眠前半の睡眠の質が低いなどの理由で成長ホルモンの分泌量が減少(※3)。その結果、ニキビや吹き出物などの肌トラブルを招きます。
高梨医院 院長 吉岡容子
「機能性便秘」とは、腸や直腸・肛門の働きが乱れて、排便回数が減ったり困難になったりすることで起こる慢性の便秘です。
女性ホルモンの1つである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」には、腸の蠕動運動を鈍らせる作用があります。
生理前に便秘しやすくなるのは、プロゲステロンの分泌量が増えることが原因です。
また、プロゲステロンには皮脂の分泌を促す作用もあります。生理前にニキビができるのは、プロゲステロンによって肌の皮脂量が過剰になるからなのです(※4)。
便秘による肌トラブルは、口周りを中心に顎・頬に発生しやすい特徴があるとされています。
※4: 川戸佳. "皮膚細胞は独自に女性ホルモンを合成し, それが皮膚細胞の活動を制御している." コスメトロジー研究報告 23 (2015): 71-77.
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便秘が原因の肌荒れを防ぐためには、そもそも便秘しないように腸内環境を整えることが一番の近道です。
今日からでもすぐに実践できる、腸内環境を整える方法を紹介します。
便秘が続いている人や、お腹にガスが溜まって苦しい人はぜひ試してみてくださいね。
規則正しい毎日を送ると、自律神経が整いやすくなります。
自律神経の切り替えが上手くいくようになると、腸の蠕動運動が促進されて便秘解消につながります。
高梨医院 院長 吉岡容子
起床時間を一定にすることで自律神経が整いやすくなります。
朝ごはんを食べることで、胃腸が動いて便の排出が促されます。
朝食を抜くと、前日の夕食から翌日の昼食まで時間が空きすぎて、排便が抑制されてしまいます。
また、朝食を抜いた状態で昼食を食べると、血糖値が急上昇。血糖値を下げようとして体内の水分が血液に集中するため、皮膚の乾燥を招きます。
皮膚は乾燥すると傷つきやすくなり、肌荒れしやすくなります。
便秘解消・予防に効果的なのが、食物繊維が豊富な食べ物です。
食物繊維は、便の量を増やして腸内の移動をスムーズにする作用があります。
食物繊維には海藻類、納豆などに含まれる水溶性食物繊維と、サツマイモやごぼうなどに含まれる不溶性食物繊維があり、1:2のバランスで摂るのが理想です。
便秘の人は、腸が動きにくくなっています。
腸の蠕動運動を促すためには、ウォーキングやヨガなどで腸に適度な刺激を与えると便秘解消に効果的です。
便を出す時に必要な腹筋力を鍛えるストレッチや、簡単な筋トレもおすすめです。
腸内環境を効率的に改善するのにおすすめなのが、ビフィズス菌やビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖を配合した腸活サプリです。
生活習慣や食生活の見直しが必要なことが分かっていても、実際に徹底して実践するのは難しいものです。
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高梨医院 院長 吉岡容子
プロバイオティクスやプレバイオティクスを含むサプリメントや食品が有効です。
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今回は、便秘になると吹き出物やニキビなどの肌荒れが起こる理由や、簡単に出来て効果が高い便秘解消法などについて紹介しました。
腸と皮膚、脳にはそれぞれが互いに影響を及ぼす「脳腸皮膚相関」という関係があり、ニキビと腸内フローラだけでなく、肌質や皮膚老化も関係していると推察されています(※)。
便秘が原因の肌荒れを防ぐためにも、腸内環境を整えることが大切です。
腸内に善玉菌を増やして、便秘によるニキビや吹き出物を予防しましょう!
※山田秀和. "見た目とアンチエイジングの考え方—美から健康—." 日本香粧品学会誌 44.2 (2020): 99-104.
高梨医院 院長 吉岡容子
腸脳皮膚相関は腸・脳・皮膚が相互に影響を与え合う複雑なネットワークを示す概念です。
皮膚は外部環境に直接さらされ、紫外線や化学物質、汚染物質に反応して免疫反応を引き起こします。
この免疫反応が全身に波及し、腸内環境にも影響を及ぼします。そのため、保湿、紫外線対策など、適切なスキンケアは腸内環境の安定化にも非常に重要です。
監修者
高梨医院
院長
吉岡 容子
■経歴■
東京医科大学卒業(2004年)
東京医科大学卒業後、麻酔科学講座入局。
麻酔科退局後、 都内皮膚科・美容皮膚科院長として勤務。
平成24年より医療法人容紘会高梨医院 皮膚科・ 美容皮膚科を開設。現院長。
■資格・所属学会■
麻酔科標榜医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医
日本レーザー医学会会員
日本抗加齢医学会会員
点滴療法研究会マスターズクラブ会員
日本美容皮膚科学会会員