最終更新日:2024.2.21
便秘解消や予防をしたいなら、最初に見直したいのが食生活です。
今回は、管理栄養士としての知識を織り交ぜながら、便秘解消に効果的な食べ物や、腸内環境を整える作用が期待できる意外な食べ物をご紹介します。
便秘でおなかが張ったり、ガスがたまったりして苦しい思いをしている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
便秘解消に効果的なものといえば、やっぱり食物繊維。
食物繊維はさまざまな食べ物に含まれていて、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類に分けられます。
それぞれの食物繊維の特徴と、多く含む食べ物をご紹介します。
水溶性食物繊維には、便を柔らかくして排便を促したり、善玉菌を増やしたりする作用があるほか、糖の消化吸収を緩やかにして血糖値の急な上昇を抑制する効果もあります。
水溶性食物繊維を多く含む食べ物の代表は、ワカメやひじきといった海藻類、納豆、キウイフルーツ、サトイモ、アボカド、大麦、オクラなどです。
不溶性食物繊維は保水性が高く、便の量を増やして腸のぜん動運動を促進し、便意を促します。
不溶性食物繊維はサツマイモやおから、ゴボウ、タケノコ、レンコン、カボチャ、ブロッコリー、リンゴ、玄米などに多く含まれています。
ちなみに、日本人にとっては小麦由来の食物繊維よりも、米やおからなど豆類由来の食物繊維が便秘予防に有効であることが報告されています(※)。
※:徳井教孝,and三成由美."便秘の定義と便秘体質."中村学園大学薬膳科学研究所研究紀要5(2012):49-54.
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の1日あたりの目標摂取量を18歳~64歳の女性は18g、男性は24g以上としています。
しかし、実際にはほとんどの世代で目標値に達していません。
食物繊維摂取量と快適な便通について調べた研究では、食物繊維が増えるほど排便量は増加。特に、1日あたり20gから30gに増やしたところ、排便量が飛躍的に増えました。
しかし、排便時の残便感や腹部の膨満感といった排便に伴う苦痛は、1日あたりの食物繊維量が10gと30gの時に増加。
この結果から、苦痛を感じない快適な自然排便が促進される1日の食物繊維量は、20gが適当と考えられるという結果が出ています(※1)。
スムーズな排便のためには、1日あたり20g程度の食物繊維の摂取が適していると言えそうです。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、「水溶性1:不溶性2」の割合で摂るのが良いとされています。
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」の結果では、1日の食物遷移摂取量(男女計・全年齢)の平均値は18.4g、うち水溶性が3.5g、不溶性が11.5gでした(※2)。
割合では「水溶性1:不溶性3.2」となるため、水溶性食物繊維の摂取が不足気味であることが分かります。
※1:石井智香子, and 東玲子. "食物繊維が排便におよぼす影響." 日本看護科学会誌 12.1 (1992): 16-22.
便秘解消のために、食物繊維の多い食べ物ばかりを意識的に摂っている人もいるのではないでしょうか?
確かに食物繊維には便通をスムーズにする効果がありますが、便秘が続いている場合は摂り方への注意も必要です。
便秘が続いている人の大腸には、水分が抜けて硬くなった便がたまっています。
その状態で便のかさを増やす不溶性食物繊維を摂ると、さらに排出することが難しくなるのです。
そうなると、ますます便秘が悪化。排出困難な硬い便が、大腸に居座り続けることになります。
「出したいのに出ない…」お通じに悩む人必見!腸内環境を整えて、便秘を改善する方法 >>詳しく見る
頑固な便秘が続いている人は、食物繊維以外にも便秘解消に効果的な食べ物を摂るようにしましょう。
腸内環境を整えたり、便を柔らかくしたりする代表的な食べ物を紹介します。
便秘予防をしたい人は、食物繊維が豊富な食べ物と併せて摂ることで、便秘対策の効果が期待できるでしょう。
腸内環境改善の強い味方であるヨーグルト。
乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌を含み、腸内環境を整える働きがあります。
中でもおすすめなのが、ビフィズス菌が入ったヨーグルトです。
ビフィズス菌は大腸内の善玉菌のうち99.9%を占め、主要な短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)である「酢酸(さくさん)」を作り出します。
短鎖脂肪酸には悪玉菌の増殖を抑制する働きに加え、脂肪の蓄積を防ぐとともに脂質の代謝を促進し肥満を防ぐ効果や、腸のぜん動運動を促進させる働きがあります。
ビフィズス菌BB536を含むヨーグルトを便秘傾向の男女55名(男性12名、女性43名、平均年齢31.6±7.2歳)が継続して摂取したところ、排便の日数と回数が増えたという研究結果が報告されています(※1)。
ビフィズス菌を生きたまま腸に届かせるためには、胃酸の影響を受けやすい空腹時よりも食後に食べるのがおすすめです。
腸内環境の改善には善玉菌を含む食べ物(プロバイオティクス)と、善玉菌のエサとなる食べ物(プレバイオティクス)を摂り、善玉菌を優勢にすることが効果的です。
ビフィズス菌はオリゴ糖や食物繊維といったエサを食べることで、酢酸を作り出します。食物繊維のうち、善玉菌が好むのは水溶性食物繊維です。
ビフィズス菌を含む食べ物と、そのエサとなるオリゴ糖や水溶性食物繊維が含まれた食べ物を併せて摂るようにしましょう。
ハチミツには、腸内に善玉菌を増やして悪玉菌を減らす、有機酸のグルコン酸やオリゴ糖が含まれています。
ハチミツの便通改善効果について調べた研究で、介護老人保健施設に入所している65歳以上の人を対象として4週間にわたり試験を行った結果、毎日ハチミツ5gを続けて摂取することが便秘改善に有効であると考えられる結果が出ました(※2)。
ハチミツにはビタミン類やミネラル類も豊富に含まれています。
プレーンヨーグルトにかけたり、砂糖の代わりに使ったりすれば無理なく摂取できるでしょう。ただし、1歳未満の乳児には与えないでください。
生きたまま腸に届くビフィズス菌とオリゴ糖で、便秘のお悩みを解決するサプリメント >>詳しく見る
便をスムーズに出すためには、すべりを良くする良質な脂質の摂取が必要です。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸には、腸のぜん動運動を促進する作用があります。
納豆を食べる際にスプーン一杯かけたり、食物繊維が豊富なライ麦パンに岩塩を少し加えたオリーブオイルをつけたりして食べるのもおすすめです。
水を切ったヨーグルトに、オリーブオイルとはちみつを加えて食べると腸に嬉しいデザートになりますよ。
胃腸を整える効果があるシナモンのパウダーを加えると、さらに高い効果が期待できます。シナモンはかけすぎると逆効果になるため、一振り程度にとどめるのがポイントです。
唐辛子に含まれるカプサイシンには、腸の蠕動運動を促進する作用があります。
唐辛子は摂取しすぎると胃腸が荒れる原因となりますが、適量であれば胃腸にとって良い影響を与えるとされています(※3)。
梨や桃、サクランボ、リンゴ、プルーン、びわなどバラ科の果樹には、ソルビトールが含まれています。
ソルビトールは大腸内で浸透圧を高め、腸管内の水分を増やして便を軟化させ、排便を促してくれます。
ただし、ソルビトールは便秘薬の成分として使われることもあるため、食べすぎには注意しましょう。
トウモロコシには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれているだけでなく、善玉菌を増やすオリゴ糖も豊富です。
221人の被験者に、トウモロコシの外皮を原料として製造されたコーンダイエタリーファイバー(CDF)を添加したスティック状ビスケットを2週間にわたって1日あたり12本食べてもらい、排便状況について調べたところ、毎日排便があると回答した人は実験前の37.6%から60.2%に増加。
3日~4日に1回の排便で便秘症の傾向がある人は、59.6%に便秘改善効果が認められました(※4)。
白ワインに含まれる酒石酸をはじめとした有機酸は、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑制します。
特にドイツ産のワインには、有機酸のうちリンゴ酸が多く含まれていることが研究によって明らかになりました(※5)。
リンゴ酸には腸の蠕動運動を活発にするほか、疲労回復にも効果があることが分かっています。
人によっては、コーヒーを飲むことで腸の蠕動運動が促進されることが報告されています。
99人を対象に行った研究では、29%の人がコーヒーを摂取したことで蠕動運動の亢進が示される結果が出ました(※6)。
ただし、ワインとコーヒーにはタンニンという成分も含まれており、摂りすぎると腸のぜん動運動を抑制してしまう可能性もあります。
利尿作用により水分が不足することも便秘の一因となるため、飲みすぎには注意しましょう。
※2:松戸典文, and マツドノリブミ. "蜂蜜摂取による高齢者の便秘改善の効果." (2018): 83-91.
※3:堀江俊治, 田嶋公人, and 松本健次郎. "消化管スパイスセンサーとその機能: 辛味は胃腸でも味わう." YAKUGAKU ZASSHI 138.8 (2018): 1003-1009.
※4:竹内政保, 菅原正義, and 川村三郎. "トウモロコシ由来の食物繊維について." 澱粉科学 37.2 (1990): 115-120.
※5:島津善美, 上原三喜夫, and 渡辺正澄. "高級ワインの有機酸組成と有機酸成分間の相関関係." 日本釀造協會雜誌 77.9 (1982): 628-633.
※6:栗原久, and クリバラヒサシ. "コーヒー/カフェイン摂取と日常生活-循環器・消化器系機能に及ぼす影響評価." 東京福祉大学・大学院紀要 8.2 (2018): 101-111.
今回は、便秘解消に効果的な食べ物をご紹介しました。便秘を改善・予防するためには、バランスのとれた食事を朝・昼・晩の3食摂ることが大切です。
とは言え、腸内環境を良くする食材を使ったメニューを3食用意するのは、手間も時間もお金もかかって大変ですね。
そんな時は、腸内環境を整える成分が配合されたサプリメントを活用するのも一つの方法です。
大切なのは、習慣化すること。毎日の生活に無理なく続けられる方法で、腸内環境が整ったスッキリできる毎日を目指しましょう。
生きたまま腸に届くビフィズス菌とオリゴ糖で、便秘のお悩みを解決するサプリメント >>詳しく見る