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むくみ腸とは?便秘やポッコリお腹の原因にもなる、腸のむくみを取る方法

最終更新日:2024.3.7

むくみ腸とは?便秘やポッコリお腹の原因にもなる、腸のむくみを取る方法

「むくみ腸」という言葉を、見たり聞いたりしたことがありますか?あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、「むくみ腸」とはその名の通り腸がむくんだ状態のことです。

むくみは顔や手、足など外から見える部分に起こるイメージがありますが、実は腸もむくむことが分かっています。

今回は、腸にむくみが生じる原因や影響、むくみ腸を改善・予防する方法などをご紹介します。便秘や下腹の張り、おならの多さが気になる人はぜひ参考にしてくださいね。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

むくみ腸とはどんな症状?腸がむくむとどうなるの?

「むくみ」とは、血液中の水分が血管やリンパ管の外にしみ出し、皮膚や皮膚の下にたまった状態を指し、医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれます。

女性は月経前になるとむくみやすくなりますが、これはホルモン分泌の影響によって水分を貯留する傾向が強くなることで生じるものです(※1)。

体内の水分量

体内に占める水分量の割合は、成人男性で約60%、成人女性で約50%、高齢男性で約50%、高齢女性では約45%と言われています(※3)。

体内の水分量は若いほど多く、小児に必要な水分量は体重あたりに換算すると成人の3~4倍です(※4)。

体内に占める水分量の割合

吸収した水分が適切に排出されないことで腸がむくむ

人体における水分吸収は80%以上が小腸で行われ、良好な時で1時間あたり800ml程度が吸収されます。

小腸で吸収された水分は血漿として体内を巡り消化器での分泌や発汗に用いられますが、過剰な水分は腎臓で血液としてろ過された後、浸透圧の変化に応じて尿として排出されます(※5)。

小腸で吸収できなかった水分は大腸で吸収され、便となります。

この過程で腸で吸収した水分が適切に排出されない場合、水が溜まり腸がむくんだ状態となります。これが「むくみ腸」です。

むくみ腸が体に与える影響

腸がむくむと何が悪いのでしょうか?むくみ腸が起こることで考えられる代表的な悪影響を挙げます。

便秘の悪化

腸がむくむと蠕動運動が阻害され、便が腸内に停滞。腸内で便の水分が吸収され、硬い便となって排出困難な状態になり、便秘が悪化します。

便秘の自覚症状がある人が病院でカメラ検査を行うと、腸がむくんでいるケースが多いと言われています。

免疫力の低下

腸にむくみが生じると、腸内環境も乱れます。腸内環境が乱れると、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増加。

悪玉菌が増加すると、便秘を引き起こすだけでなく全身の免疫力を低下させ、風邪やインフルエンザ、花粉症などのほか、さまざまな病気のリスクも高まります。

太りやすくなる

むくみ腸の状態では、腸の消化・吸収能力も低下しています。

その結果、本来であれば吸収や分解されるはずの脂肪が体内に蓄積され、肥満しやすい状態となります。

むくみ腸の影響

※1:大橋宏. "性ホルモン投与によるラットの水分代謝及び電解質の変化に関する研究." 北関東医学 15.1 (1965): 93-105.

※2,4:田中正敏. "水とヒト: 生理的立場から." 人間と生活環境 6.2 (1999): 85-91.

※3:太田樹, and 内田俊也. "I. 水・ナトリウム代謝異常." 日本内科学会雑誌 104.5 (2015): 906-916.

※5:奈良松範. "A-66 水の特性が生体に及ぼす影響に関する研究." 空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成 24 年. 公益社団法人 空気調和・衛生工学会, 2012.

むくみ腸の可能性が高い症状とは?見分け方は?

手足のむくみは見たり触ったりすることで分かりますが、腸がむくんでいるのかを調べるにはどうしたら良いのでしょうか?

次は、むくみ腸の場合に見られる代表的な症状をご紹介します。もしも下記のような症状がある場合は、腸がむくんでいるかもしれません。

  • むくみ腸の人に多い症状

    1. お腹が痛い
    2. 便秘がち・排便後も残便感がある
    3. 下腹がポッコリ出ている
    4. おならがよく出る
    5. おならが臭い

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むくみ腸はなぜ起こる?腸がむくむ原因

むくみ腸になる原因は、1つだけではありません。複数の要因が重なり合うことで引き起こされる場合がほとんどです。

腸をむくませる生活習慣や食生活をみてみましょう。思い当たる項目がある人は要注意です。

腸がむくむ原因とは?

塩分の過剰摂取

塩気が強い食べ物が好きな人は、腸がむくみやすいかもしれません。

塩分(ナトリウム)を過剰に摂ると、血中のナトリウム濃度が上昇します。血液中のナトリウム値を下げるために、小腸で吸収される際に多くの水分が必要となり、むくみやすくなります。

脂質が多い食生活

悪玉菌のエサとなる脂質を多く含む食べ物を頻繁に摂る人は、腸内環境が乱れやすい傾向にあります。腸内環境の悪化はむくみ腸を引き起こす大きな要因です。

糖分の摂取量が多い

糖分が沢山含まれた甘いものを食べたり飲んだりすると、血液中の糖分濃度(血糖値)を下げて正常値に戻すために、インスリンが分泌されます。

インスリンには塩分(ナトリウム)の吸収を促進する作用があり、体液の塩分バランスを整えるために水分をため込みます。その結果、腸にむくみが生じるのです。

運動不足

運動不足や座りっぱなしのデスクワークが多い人は、腸に十分な量の血液が行き届かず、腸の蠕動運動が阻害されている可能性が少なくありません。

蠕動運動が行われないと便秘が悪化し、腸がむくみやすくなります。

ストレスがたまっている

体内の様々な機能は、自律神経によって自動的に調整されています。

血流や腸の蠕動運動も自律神経によって調節されており、ストレスを抱えていると自律神経がうまく働かなくなることでむくみ腸や便秘を引き起こしやすくなります。

体の冷えや寒暖差

体が冷えると血流が悪くなり、水分の巡りが滞ることで手足などのむくみの原因となります。

腸の血流も冷えによって悪くなるため、むくみ腸の原因となります。

また季節の変わり目で寒暖差が発生すると、自律神経が乱れやすくなり血流や腸の動きにも悪影響があらわれます。

便秘

むくみ腸は便秘の原因となるとともに、便秘の状態では腸内に溜まった便から水分を吸収する時間が長くなり量も増えるため、腸がむくみやすくなります。

このためむくみ腸と便秘の悪循環におちいり、両方が長引く原因となります。

便秘薬を常用している

便秘薬を常用すると腸への刺激により粘膜に炎症を起こし、むくみ腸の原因となるケースがあります。

むくみ腸を解消するには?腸のむくみをとる方法

「自分の腸はむくんでいるかも」と思った人も、今からお伝えする改善策を実践すれば、むくみ腸をすぐに解消できるかもしれません。

便秘改善にも効果的な方法ですので、お通じの悩みを抱えている人も試してみてくださいね。

腸のむくみをとる方法

お腹をあたためる

腹部を温めると、腸の蠕動運動を促進する副交感神経が優位になります。腸の血行も良くなり、むくみ腸や便秘も解消されるでしょう。

質が高い睡眠をとる

食べ物の消化は、副交感神経が優位な状態にある睡眠時に進みます。

睡眠の質が高いと、腸内で消化・吸収が進み、スムーズな排便をもたらします。

十分な長さの睡眠時間を確保する、睡眠環境を整えるなど眠り質を向上させるために一工夫してみませんか。

軽度の運動を習慣にする

運動不足は腸内の血流を悪くして、腸をむくませます。

ウオーキングやラジオ体操、ヨガなど軽度の運動は、腸内だけでなく全身の血行を良くしてむくみ腸を改善。便秘対策にもおすすめです。

ストレス解消をする

ストレスの蓄積は、自律神経のバランスを崩す大きな要因です。

自律神経が乱れると、腸内環境の悪化によるむくみ腸や便秘だけでなく、不眠や倦怠感など様々な全身症状が表れます。

カラオケに行って大声を出したり、自然の中で深呼吸したり、スポーツで汗を流したり、お気に入りの香りに癒されたり…。自分に合った方法で、上手にストレス解消をしましょう。

便秘薬の常用を避ける

便秘薬や下剤の常用は、腸のむくみを引き起こします。

便秘に悩む場合も薬には極力頼らず、まずは生活習慣や食生活の見直しによる改善を目指しましょう。

腸のむくみ解消に効果的な食べ物!食生活でむくみ腸対策を

むくみ腸には、普段の食事も深く関わっています。

腸内に善玉菌を増やして腸内環境を整えることが、むくみ腸解消への近道と言っても過言ではありません。

善玉菌を含んだヨーグルトや味噌といった発酵食品と、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を多く含む海藻類やキノコ類などを併せて摂るのがポイントです。

腸のむくみ解消に効果が期待できる栄養素を含んだ食べ物をご紹介します。毎日の食事にとり入れば、きっとむくみ知らずの腸になりますよ。

>腸のむくみ解消に効果的な食べ物

切り干し大根

切り干し大根は、カリウムが豊富な食材の代表格。カリウムは塩分(ナトリウム)を体外に排出するために必要なミネラル分であり、不足するとむくみやすくなります。

また、不溶性食物繊維も多くまれているため、便の量を増やして排便を促進する効果も期待できます。

ほかにカリウムが多い食品として、バナナやほうれん草、里芋、ドライマンゴーなどが挙げられます。

シナモン

スパイス調味料としておなじみのシナモンには、血流促進効果や水分代謝を調節する作用があります。

シナモンパウダーなら、コーヒーや紅茶に加えたり、ヨーグルトに混ぜたりするだけで手軽に摂取できて便利です。とは言え、摂りすぎると肝臓に負担がかかる恐れがあるため、過剰摂取には注意しましょう。

寒天

海藻から作られる寒天は、便秘解消効果があるとして古くから食べられてきた食材です。

寒天の食物繊維によって便秘が改善され、健康増進に役立つことが科学的にも証明されています(※)。ただし、食べ過ぎると腸内の水分を過剰に吸収して便を硬くするため、適量の摂取を心掛けましょう。

※:埋橋祐二, and 滝ちづる. "寒天の種類・特性と使用方法." 日本調理科学会誌 38.3 (2005): 292-297.

腸内環境の改善には毎日の継続が大切

むくみ腸と便秘の改善のためには、腸内環境の改善が重要です。

食べ物から摂ったビフィズス菌や乳酸菌は数日で体から排出されてしまうため、毎日摂り続けることが大切です。

日々の食事だけで善玉菌とそのエサとなる成分を十分に摂り続けることが難しい場合は、サプリメントの活用も検討してみてください。

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腸内に善玉菌を増やして、むくみがない健康的な腸を目指そう

今回は、腸に水分がたまりすぎた「むくみ腸」について解説しました。

むくみ腸は便秘にも密接な関係があります。腸のむくみによって引き起こされる健康への悪影響は、慢性化すると重篤な事態にも発展しかねません。

腸内に善玉菌を増やして、むくみがない健康的な腸を目指そう

生活習慣病をはじめとした病気を予防するためにも、早いうちに腸のむくみを解消するための対策をとりましょう。

もし生活習慣や食生活を改善しても、便秘やおなかの違和感が続く場合は、医師や医療機関への相談を検討することをおすすめします。

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