最終更新日:2024.11.20
体の中でむくみやすいのは顔や手、足というイメージがありますが、実は腸もむくむことがあります。
腸がむくんだ状態は「むくみ腸」と呼ばれ、便秘をはじめとした様々な症状を引き起こす要因です。
便秘が長引いていたり、おならの回数が多かったり、おなかがぽっこりしていたりと腹部に不調を感じている人は、むくみ腸が原因かもしれません。
今回は「むくみ腸」の原因や改善法、腸のむくみを予防する方法などについて、詳しく解説します。思い当たることがある人は、改善の参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
「むくみ(浮腫)」とは、水分の吸収が不十分で細胞の間に水がたまって増加した状態を指します。
長時間立った姿勢を続けると脚がむくんだり、お酒を飲みすぎると顔がむくみやすくなるのは、血流が悪くなったことにより体内での水分の回収が不十分になることが主な原因です。
同様の症状が大腸や小腸に発生したものが、腸がむくむ「むくみ腸」です。
手足や顔のむくみは見た目の変化で分かりますが、腸のむくみを自分の目で確認することはできません。
そこで、まずは腸がむくんでいる時に起こりやすい症状をご紹介します。
もしも下記のような症状がある場合は、腸がむくんでいるかもしれません。
むくみ腸の人に多い症状
腸がむくむのは、生活習慣や食生活が大きな影響を与えています。
むくみ腸になる主な原因を挙げていきますので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
便秘になると、滞留した便の水分が腸管で過剰に吸収され、腸がむくみやすくなります。
また、便秘薬や下剤を常用すると腸管の粘膜が炎症を起こして、腸がむくむ原因に。
塩分(ナトリウム)を過剰に摂ると、血中のナトリウム濃度が上昇します。血液中のナトリウム値を下げるために、小腸で吸収される際に多くの水分が必要となり、むくみやすくなります。
脂質は悪玉菌のエサになるため、脂肪分が多い食生活を続けると腸内環境が乱れやすくなります。腸内環境の悪化はむくみ腸を引き起こす大きな要因です。
糖分が多い食べ物や飲み物を摂ると、血液中の糖分濃度(血糖値)を下げて正常値に戻すために、インスリンが分泌されます。
インスリンには塩分(ナトリウム)の吸収を促進する作用があり、体液の塩分バランスを整えるために水分をため込みます。その結果、腸にむくみが生じるのです。
運動不足の人は腸に血液が行き届かず、腸の動き(蠕動運動)が悪くなっている可能性も。
蠕動運動が行われないと腸内を便が移動できず、便秘が悪化。腸のむくみを引き起こす原因となります。
ストレスがたまると自律神経が乱れやすくなります。
自律神経は体内の様々な機能を自動的に調整する役割を果たしていますが、ストレスの蓄積や生活習慣によって乱れることが少なくありません。
血流や腸の蠕動運動も自律神経によって調節されているため、自律神経が乱れるとむくみ腸や便秘を引き起こしやすくなります。
体が冷えると血流が悪くなります。腸の血流も例外ではなく、冷えによって悪化。腸がむくむ大きな要因となります。
むくみ腸によって引き起こされる症状の多くは、生命の危険に直結するものではありません。
しかし、腸が慢性的にむくんでいると健康寿命を縮める可能性も。
次は、むくみ腸との関連が考えられる健康への悪影響についてお伝えします。
腸がむくむと、腸内に便が滞留しやすくなります。
すると、便に含まれる水分が腸管によって過剰に吸収され、硬い便に変化。排出しにくいカチコチの便となって、便秘が悪化します。
便秘は腸のむくみの原因となり、腸のむくみは便秘を引き起こすという悪循環となってしまいます。
むくみ腸の状態では悪玉菌が増加し、腸内細菌叢(腸内フローラ)を形成している腸内細菌のバランスが崩れます。
腸内フローラの状態は免疫力と深い関係があり、悪玉菌の数が増えると免疫力が低下。風邪やインフルエンザをはじめとした病気のリスクが上昇します。
腸がむくんでいると、食べた物の消化や吸収能力が低下します。
そのため、吸収・分解されるべき脂肪が体内に蓄積され、太りやすくなります。
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腸のむくみを改善するためには、生活習慣の見直しが効果的です。
むくみ腸の解消・予防におすすめの方法を紹介します。
おなかを温めると副交感神経が優位になり、腸の血行が良くなります。
腸の血行が良くなるとむくみ腸が解消されるだけでなく、腸の蠕動運動が活発になって便秘解消効果も期待できるでしょう。
睡眠の質と腸内環境は密接な関係にあり、睡眠の質が低下すると腸内フローラも悪化。腸がむくむ要因となります。
また、眠りの質が悪いと自律神経がバランスを崩しやすくなり、むくみ腸を引き起こす原因に。
むくみ腸の改善や便秘解消のためにも、しっかり寝て眠りの質を向上させることが大切です。
大腸に刺激を与えて排便を促す便秘薬や下剤は、使い続けるほど効果が感じられなくなり、量が増えていくことが少なくありません。
便秘薬や下剤を日常的に服用すると、腸が炎症を起こしてむくみやすくなります。
便秘薬には頼りすぎず、薬のような副作用の心配がないサプリメントや食生活・生活習慣の改善で便秘を改善するようにしましょう。
腸がむくむ原因の一つが、運動不足による腸内の血流不良です。
そのため、適度な運動を行うことがむくみ腸の改善につながります。
むくみ腸を改善するのにおすすめなのが、朝日を浴びつつ行うウオーキングやラジオ体操です。
朝日を浴びることで体内時計がリセットされて自律神経が整うだけでなく、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌がスタートします。
むくみ腸には、普段の食生活も大きな影響を与えています。
腸のむくみ解消に効果的な食品を摂って、むくみのない腸を目指しましょう。
バナナは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出するために必要なミネラル分のカリウムが多く含まれている食べ物です。
体内にナトリウムが多いとむくみやすくなるため、カリウムを適量に摂取することでむくみ改善につながります。
また、食物繊維も豊富で便秘解消にも役立つほか、セロトニン生成に必要なアミノ酸のトリプトファンや、セロトニンを作るのに欠かせないビタミンB6も含まれています。
シナモンは「桂皮」という呼び名で漢方薬に用いられ、血流促進効果や水分代謝を調節する作用があることで知られています。
パウダー状のシナモンなら、コーヒーや紅茶、腸内環境改善に役立つヨーグルトにも加えやすくて便利です。
ただし、シナモンにはクマリンという物質が含まれていて、過剰に摂取すると肝臓に負担を掛けます。
クマリンは、シナモンの中でも「カシアシナモン」に多く含まれています。購入する場合は、セイロンシナモンを選ぶようにしましょう。
ピスタチオには、カリウムなどのミネラル分やビタミンB2、ビタミンB6といったビタミン類、食物繊維が豊富に含まれています。
腹もちが良いため、小腹がすいた時のおやつにもおすすめです。
塩分の過剰な摂取を避けるために、食塩無添加のピスタチオを選ぶようにしましょう。
今回は、むくみ腸が起こる原因や健康への影響、改善方法などについて解説しました。
腸のむくみによって腸内環境が悪化すると、便秘や肌荒れ、免疫力低下などが引き起こされる可能性が高くなります。
生活習慣や普段の食事と併せて手間をかけずに腸内環境を良くしたい場合は、善玉菌であるビフィズス菌や、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖などがバランス良く配合されたサプリメントを活用するのもおすすめです。
生活習慣病予防のためにも、腸のむくみは早めに解消したいですね。
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