最終更新日:2025.10.22
腸のむくみとは?ぽっこりお腹や便秘の原因・診断・治し方
「むくみ腸」という言葉を聞いたことがありますか?
「ダイエットしても下腹だけがへこまない」「毎日お通じがあるのにスッキリしない」といった悩みの原因は、腸のむくみにあるかもしれません。
手足や顔のむくみは見た目で分かりますが、腸のむくみは自分の目では確認できないため、見落としがちです。しかし、便秘をはじめとした不調の裏側に「むくみ腸」が隠れているケースも少なくありません。
本記事では、腸がむくむ原因や「むくみ腸」を診断できるセルフチェック法、腸をスッキリさせてお腹のむくみをとる方法などを、分かりやすく解説していきます。
最近、下腹のぽっこりや便通トラブルに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 食品保健指導士
・管理栄養士
目次
腸のむくみとは?腸がむくむ原因
腸がむくむ、いわゆる「むくみ腸」という状態は、便秘・ぽっこり下腹・だるさといった症状につながる“見えにくい”不調の原因となっています。
そもそも、「お腹のむくみ」=「腸のむくみ」とは、どのような状態なのでしょうか?
むくみ腸とはどのような状態?
“腸がむくむ”という表現を聞くと違和感があるかもしれませんが、医学的には「腸管浮腫」という状態を指します。
これは、何らかの原因によって腸管(腸壁・その周辺)が機能障害に陥り、腸がむくんで便の通過阻害(便秘)などの悪影響が引き起こされる状態を指します。
腸がむくむ主な理由について、さらに詳しく解説していきましょう。
腸がむくむ主な原因
研究によると、以下のようなメカニズムで腸管浮腫(=むくみ腸)が起こるとされています。
- 血液・リンパの滞り
腸管に接続する静脈や腸管リンパの流れが悪くなると、リンパ液などの組織間液が回収されず、腸壁に水分がたまります。 - 腸内環境の悪化・腸管運動の低下
腸の蠕動運動が低下したり、腸管内内容物の流動が止まったりすると、内容物・ガス・水分が腸管内に滞留し、腸壁が拡張・むくむ原因になります。 - ホルモンバランスの乱れ
女性は生理前や更年期などにホルモンバランスが変化し、その影響で腸のむくみを感じる場合があります。
エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが水分の代謝に関与しているため、ホルモンの変動がむくみを引き起こすのです。 - 生活習慣・食事の内容が誘因となるケースも
腸のむくみは、生活習慣や食事の内容が原因で引き起こされるケースがしばしばあります。
【腸のむくみを引き起こす生活習慣・食事の例】
1. 塩分が多い食事内容
→塩分が多い食事内容は、腸内で水分が過剰に滞る原因になります
2. 長時間座りっぱなし・運動不足
→腸周囲の血流やリンパの流れが悪化しやすくなります
3. ストレスの蓄積・睡眠不足
→自律神経の乱れによって腸の運動が低下し、むくみ腸のリスクが高まります
このように、血流・リンパ・運動・腸内環境・ホルモン・生活習慣・食事内容が複雑に絡み合って、腸のむくみは発生するのです。
むくみ腸をセルフ診断!腸むくみの症状とチェックリスト
腸がむくんでいると、どのような症状・サインが現れるのでしょうか?
むくみ腸の早期発見は、腸内環境悪化による便秘予防につながります。
腸の不調が続いている人は、以下の「むくみ腸セルフ診断リスト」でチェックしてみましょう。
むくみ腸セルフ診断リスト
- 朝より夜、お腹の張り・重さを感じる
- 下腹部だけが出ている・ぽっこりしている
- 便通はあっても「スッキリしない」/残便感がある
- 食事をした後、急にお腹が膨れる・ガスがたまりやすい
- 肌がくすんでいる・吹き出物ができやすい
- 冷え・むくみ・だるさを頻繁に感じる
- ダイエットしても下腹だけ引っ込まない
- 最近、体重が増えやすい、または減りにくくなった
当てはまる項目が多い人は、腸がむくんでいるかもしれません。
便秘や原因不明の疲労感といった症状が長期間続いている場合は、専門医へ速やかに相談しましょう。
腸がむくむとどうなる?健康や肌荒れへの影響も
むくみ腸が続くと、下腹の膨張だけでなく、全身の体調や美容面にも影響を与えるケースがあります。
腸むくみによって現れやすい症状の代表例が、以下の5つです。
1. 下腹部の張り・ぽっこり感
腸壁が膨らんだり、腸内に水分・ガス・老廃物が滞ったりすることで「お腹にむくみを感じる」「お腹が張っている」「下腹が出ている」という感覚が出やすくなります。
「ダイエットしても下腹だけへこまない」と感じる人は、腸のむくみが一因かもしれません。
2. 排便後もスッキリしない/残便感がある
腸むくみにより腸管が膨張すると、便の通過や排出が物理的に阻害されやすくなります。
そのため、排便しても「出し切れない」「何か残っている」といった違和感につながるケースがあります。
3. ガスが増えてお腹が張る
腸むくみで腸管内の圧力や流れが滞ると、腸内でガスがたまりやすくなります。
腸管内圧の上昇は下腹部の膨張感を増強し、食後の膨満感や不快感を招きます。
4. 肌トラブル・くすみ・冷え・疲労感
長期にわたる腸むくみは、腸管周囲の血液やリンパ液の流れを阻害し、手足や顔のむくみ、全身のだるさ・疲労感、冷えを感じさせる要因です。
また、腸–皮膚軸を通して肌荒れやくすみなどの皮膚トラブルのリスクが高まる可能性があります。
5. ダイエットしても痩せにくい
腸の機能が低下すると代謝も落ち、栄養の吸収・排出のバランスが崩れます。
その結果、痩せにくい体質になりやすく、食事制限をしても体重が落ちにくくなるのです。
このように、むくみ腸は単にお腹のむくみや便秘だけではなく、全身の状態にも影響を与えます。だからこそ、早めの対策が必要です。
腸むくみ・便秘の悩みに!効率的に腸内環境を整えるサプリはこちら >>詳しく見る
むくみ腸は病気?注意しておきたい疾患リスク
腸のむくみ=腸管運動の低下・腸内環境が乱れた状態の放置は、将来的な病気のリスクを高める要因になりかねません。
むくみ腸との関連が指摘されている、主な病気を挙げます。
むくみ腸が引き起こす主な不調
- 腸管運動機能障害/慢性便秘症
腸浮腫による便の通過遅延で、便秘状態が慢性化する可能性があります。 - 腸–肝軸・代謝症候群
腸バリア機能低下が、脂肪肝・代謝症候群・肥満などに関連する可能性も報告されています。 - 腸管粘膜障害・リンパ系異常
腸浮腫が慢性化・進行すると、腸管リンパ系の負荷などを介してプログレッシブな機能低下が生じる可能性もあります。
「腸のむくみ=必ず病気になる」わけではありません。しかし、むくみ腸に起因する腸内環境の悪化が、何らかの疾患を引き起こす可能性もあります。
むくみ腸チェックリストで当てはまる項目が多かった人は、特に注意が必要です。
医師や医療機関への受診をおすすめします。
腸のむくみをとる方法 | 便秘解消につながる生活習慣と食事
腸のむくみや便秘といった腸内環境の悪化が気になっているなら、これから紹介する方法を試してみませんか。
今日からすぐに実践できる、むくみ腸をとる方法です。
1. 発酵食品+オリゴ糖で腸内フローラを整える
発酵食品(ヨーグルト、味噌、ぬか漬けなど)には、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が含まれています。
また、オリゴ糖は善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整えるために欠かせない存在です。
ビフィズス菌とオリゴ糖を同時に摂取すると、より腸活効果が高められるでしょう。
2. 水溶性食物繊維を積極的に摂る
便秘解消には食物繊維が欠かせません。特に、腸内に水分を抱え込みながら移動する水溶性食物繊維は、腸管内環境を潤し、便を排出しやすい硬さに整える作用があります。
食物繊維を意識した食事内容を心掛けましょう。
腸のむくみを改善する食品の例
- わかめ・ひじきなどの海藻類
- オクラ・山芋などのネバネバ食材
- オートミール・リンゴ・バナナなどの食物繊維を含む食品
3. 白湯習慣と腸もみで朝からスッキリ
腸のむくみをとるためにプラスしたい動きが、「温める」「ほぐす」「流す」の3つです。
白湯と腸もみで腸を整える方法
- 白湯を飲む(温める)
朝起きてすぐにコップ一杯の白湯をゆっくり飲むと、胃腸の温度が上昇して腸の蠕動運動が促進されます。 - 腸もみ(ほぐす→流す)
お腹を手で優しくほぐすマッサージも、腸むくみ解消には有効です。おへそまわり(下腹部)を、時計回り・反時計回りに1〜2分マッサージしましょう。腸の動きが促され、ガスや老廃物の滞りを解消する効果が期待できます。
4. 深呼吸&骨盤ストレッチで腸の血流UP
腸のむくみには、自律神経や骨盤まわりの血液・リンパ液の流れも関係しています。
血行やリンパ液の流れを良くするのに手軽にできておすすめなのが、深呼吸と骨盤ストレッチです。
深呼吸と骨盤ストレッチで血流を促進
- 深呼吸
就寝前にゆったりとお腹に意識を向けて深く息を吸い、吐きだします。副交感神経が優位になり、腸の蠕動運動が促進されて、腸むくみや便秘の改善につながります。 - 骨盤ストレッチ
下腹部や腸管周囲の血流・リンパの流れを改善するのにおすすめなのが、骨盤ストレッチです。仰向けに寝て、膝を軽く曲げて左右に倒す・腰を回すなどの動作を5分程度行いましょう。
5. 腸活サプリメントで効率的にサポート
生活習慣や食事内容を変えるのが難しい場合や、むくみ腸が慢性化していると感じる場合におすすめなのが、腸活サプリメントです。
便通改善に特化したサプリメントには、腸内環境を整えるために効果的な成分が配合されています。
腸内環境を整えるために効果的な成分
- プロバイオティクス
適正な量を摂取することで宿主に有用な作用を発揮する生きた微生物。ビフィズス菌や乳酸菌などが代表的です。 - プレバイオティクス
プロバイオティクスの代謝や増殖を促進する、オリゴ糖などの難消化性多糖類です。
腸内細菌叢に関連する研究では、プロバイオティクス(善玉菌)とプレバイオティクス(オリゴ糖・食物繊維)を併用する「シンバイオティクス」が、腸内環境の改善に有効であることが報告されています(※)。
便通改善サプリを選ぶ際には、ビフィズス菌などのプロバイオティクスと、オリゴ糖をはじめとしたプレバイオティクスが配合された製品を選ぶようにしましょう。
まとめ | 腸むくみを解消して、体の内側からすっきり
むくみ腸の状態が続くと、腸の蠕動運動が低下して便やガスが滞留し、便秘や下腹の張りといった不快な症状につながります。
また、血液やリンパ液の流れが滞るために、代謝が低下したり、血行不良に伴う酸素不足が引き起こされたりして、腸以外にも悪影響を与えます。
つまり、むくみ腸は全身の健康状態に深く関係しているのです。
むくみ腸を防ぐためには、日頃の生活習慣や食事内容の見直しが欠かせません。
しかし、腸活を意識した生活を徹底するのは、なかなか難しいもの。そこで活用したいのが、ビフィズス菌やオリゴ糖などが配合された腸活サプリメントです。
ビフィズス菌やオリゴ糖が配合された“シンバイオティクス”効果が期待できるサプリを継続して摂取すれば、効率良く腸内環境を整えられるでしょう。
スッキリ快適な毎日を送るためにも、腸のむくみを解消して便通改善を目指しませんか。
腸活をもっと効率的に始めたいあなたへ
腸内環境を改善したい、便秘でお腹が重い…。そんな腸内トラブルに
ビフィズス菌とオリゴ糖で
内側からサポート。
習慣にしやすいシンプルな腸活、
始めてみませんか?
【参考資料・出典】
※金森豊. "新生児におけるシンバイオティクス療法の意義." 静脈経腸栄養 25.4 (2010): 923-928.
※野本康二. "プロバイオティクスおよびシンバイオティクスの可能性." ファルマシア 53.11 (2017): 1087-1090.
こちらも見られています
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾病の診断や治療を意図するものではありません。症状や健康面にご不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門の医師による診断と指導をお受けください。
本記事の内容に起因するいかなる結果についても、筆者および運営者は責任を負いかねますのでご了承ください。
