最終更新日:2025.01.07
便秘は、大人だけに起こる症状ではありません。
子どもの便秘は大人とは違う理由で引き起こされている可能性があり、場合によってはその後の成長に影響を与える恐れもあります。
そのため、便秘の原因を見極めたうえで、早めに適切な対応をすることが大切です。
そこで今回は、子どもが便秘になる原因や成長への影響、子どもの便秘の治し方などについて詳しく解説します。
お子さんのお腹の調子が気になっている保護者の方は、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
子どもの便秘には、大人の便秘とは違う原因が隠れている場合があります。
まずは、大人と子どもに共通する便秘の主な原因です。
子どもと大人に共通する便秘の主な原因
①自律神経の乱れ
不規則な生活やストレス、睡眠不足など様々な要因で自律神経が乱れて便秘になります。
②偏った食生活
バランスが悪い食生活による食物繊維不足や、脂質・糖質の過剰摂取なども便秘の原因です。
③運動不足
運動不足は、腸の動きを鈍くさせる大きな要因です。腸が適度に刺激されないと蠕動運動が促進されず、便が腸内に滞留して便秘しやすくなります。
子どもの便秘の場合は、上記の原因に別の要因が加わることが少なくありません。
①うんちを出すことに対してイヤなイメージがある
子どもが便秘をしやすいピークは、2歳~4歳のトイレットトレーニングの時期とされています(※)。
その理由として、トイレットトレーニングで失敗して叱られたり、強制的に排便を促されたりしたことで排便を避けるようになる可能性が考えられています。
②排便時に痛い思いをしたことがある
便秘が続くと便が腸の中で硬くなり、うんちを出す時にお腹や肛門に強い痛みを伴うことがあります。
その痛みを回避するために、便意を感じても我慢し続けて便秘が悪化します。
③うんちを出すタイミングを何度も逃した
うんちをしたくなっても遊びや動画の視聴を優先したり、学校での排便に対して強い羞恥心があったりして、子どもはトイレを我慢しがちです。
そうして便意を何度も我慢するうちに、新しいうんちが溜まっても便意が起こらず、どんどん便がお腹に溜まっていく「直腸性便秘」になります。
※小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(日本小児栄養消化器肝臓学会/日本小児消化管機能研究会編集)
子どもの便秘は、その後の成長やQOL(生活の質)にも大きな影響を与えます。
腸内に便が滞留するとガスが大量に発生します。
ガスが原因でお腹が張り、いつおならが出るか分からない不安感のせいで授業に集中できず、学力低下につながり可能性が考えられます。
お腹に便が溜っていると、食欲不振を招きやすくなります。
お腹が空かないので食べる量が減り、成長に必要な栄養分が不足します。
便秘傾向にある子どもは、朝食を食べない割合が高いという調査結果があります(※1)。
朝食は体内時計を整える大切な要素です。
朝食を食べないと腸の動きが悪くなったり、自律神経が乱れたりして便秘の症状を悪化させます。
便秘と睡眠は相互に影響を与え合う関係性があるため、便秘のせいで寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりして睡眠の質が低下します。
睡眠の質が悪い子どもはイライラしがちで攻撃的になりやすいことが指摘されています(※2)。
小・中・高等学校の児童生徒2887人を対象として行った調査で、排便習慣が毎日あるいは2日に1回など定期的にある子どもは、自尊感情が高い傾向にあることが明らかになりました(※3)。
このことから、定期的な排便習慣がないと自尊心が低くなる可能性があると考えられるでしょう。
※1,3:川村美笑子,et al."高知県の幼児の食生活と生活スタイル,児童生徒の食生活と生活スタイル及び自尊感情に関する考察." 高知女子大学紀要生活科学部編57(2008):43-50.
※2:亀井雄一,and岩垂喜貴."子どもの睡眠."保健医療科学61.1(2012):11-17.
子どもの頃に便秘があると、大人になっても便秘しやすい体質になる可能性が高いという調査結果があります。
ある病院で便秘治療をした5歳以上の子どもを追跡調査したところ、約4分の1が成人の便秘に移行していました(※)。
子どもの便秘はその時ばかりでなく、後の人生にも影響を及ぼす可能性があります。
だからこそ、早めの便秘解消と予防が大切なのです。
※小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(日本小児栄養消化器肝臓学会/日本小児消化管機能研究会編集)
便秘はありふれた体のトラブルであり、珍しいことではありません。
6歳未満の子ども(平成21年6月1日から平成27年5月3日までに生まれた子ども)のいる世帯及びその子ども3,871人を対象に実施した「平成27年度乳幼児栄養調査」で、子どもの排便の頻度について、約25%の子どもが「ほぼ毎日ではない」ことが明らかになりました。
このように子どもの便秘は頻繁に起こるため、中には放置している人がいるかもしれません。
しかし「たかが便秘」と長期間放置すると、重篤な病気を引き起こすことがあります。
硬くなった便が直腸に詰まると、便塞栓(べんそくせん)という塊になり、肛門に蓋をしてしまいます。
便塞栓ができると、その横をすり抜けて水や泥のような柔らかい便が漏れるようになります。
これが「便失禁(遺糞症/いふんしょう)」です。
柔らかい便が出るために下痢と間違われがちですが、実は便秘が悪化している状態です。
医師の診察によって便塞栓が認められた場合は、速やかな除去が行われます。
便塞栓が巨大化している場合は、入院して便を砕かなければいけない場合もあります。
今回は、子どもが便秘になる原因や便秘が子どもの成長に与える影響、便秘を放置した場合にかかる危険性が高い病気などについてお伝えしました。
子どもの便秘を解消・予防するためには、大人の便秘対策と同じように、夜更かししないように生活リズムを整えたり、1日3食きちんと食べさせたり、食物繊維が多い食べ物を与えたりといった方法が効果的です。
また、腸内に善玉菌を増やして腸内環境を整えるビフィズス菌が配合されたサプリメントを活用しても良いでしょう。
その場合は子どもに飲ませても大丈夫な、安心・安全にこだわって製造されている腸活サプリメントを選んでくださいね。
子どもがうんちを出すことに対してイヤなイメージを抱いている場合には、排便に対する痛みや羞恥心といったマイナスの記憶を取り除く必要があるでしょう。
子どもの便秘が5日以上続いている場合や排便時に強い痛みを訴える場合は、自己判断で市販薬を使用せず、医師による診断を受けたうえで適切に対処しましょう。
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