最終更新日:2025.4.21
40代後半から50代にかけて、「お腹が張って苦しい」「排便に時間がかかる」「毎日出ないのが当たり前になってきた」と感じていませんか?
実はその便秘、更年期に伴う体の変化が大きく関係している可能性があります。
更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下し、自律神経のバランスが乱れやすくなる時期です。
便秘はその代表的な不調のひとつ。
本記事では、「更年期と便秘の関係」「便秘が起こるメカニズム」「市販薬では解決しにくい理由」「腸を整える食材」などについて、やさしく、そしてしっかりと解説していきます。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
更年期とは、閉経を挟んだ前後5年ずつの約10年間を指した期間です。
日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後とされ、45歳~55歳頃が更年期にあたる人が多いと考えられています。
更年期になると「更年期障害」と呼ばれる、色々な不調に悩まされることが増えます。
更年期障害で表れる症状や程度は人によって異なりますが、ひどい人になると日常生活や仕事に支障をきたす場合もあります。
「なぜ更年期になると便秘がひどくなるの?」
そんな疑問を抱える40代・50代の女性は少なくありません。
実は、更年期特有のホルモン変化や生活習慣の乱れが、腸内環境に大きな影響を与えています。
ここでは、更年期に便秘が悪化しやすい3つの大きな理由を分かりやすく解説します。
女性ホルモンのエストロゲンは、自律神経のバランスを保つ働きがあります。
閉経に伴ってエストロゲンが減少すると自律神経が乱れて、腸のぜん動運動(便を送り出す動き)も弱まり、排便がスムーズにいかなくなります。
更年期は精神的な浮き沈みが増え、イライラや不眠などが起こりやすくなります。
腸は「第二の脳」とも呼ばれるほどメンタルとの関わりが深いため、ストレスの蓄積や睡眠不足によって、腸の働きが低下。
便秘が悪化しやすくなるのです。
加齢とともに腹筋や骨盤底筋が弱くなると、「いきむ力」も落ちていきます。
さらに活動量が減ることで腸の動きも鈍くなり、慢性的な便秘を引き起こします。
更年期の便秘は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少することに起因するケースが珍しくありません。
このホルモンは、自律神経を整える働きがあり、腸のぜん動運動(便を押し出す働き)とも密接に関係しています。
そのため、更年期にエストロゲンが減ると腸の動きが鈍くなり、便が腸内に停滞しやすくなります。
市販の便秘薬(特に刺激性下剤)は一時的に腸を強制的に動かすだけで、ホルモンの乱れや自律神経の不調には働きかけません。
つまり、更年期便秘の根本的な原因にアプローチしていないため、「飲んでも出ない」「翌日つらい腹痛だけ残る」といったことが起きやすくなるのです。
さらに便秘薬に頼り続けると、腸が本来持つ「自力で出す力」が衰え、依存状態になってしまうリスクも…。
更年期には、仕事や家庭、親の介護、自分の体の変化など、多くのストレス要因がのしかかってきます。
ストレスは自律神経を乱し、腸の動きを鈍らせる大きな原因です。
メンタルの状態と腸内環境は、お互いに影響を与え合う「脳腸相関(のうちょうそうかん)」にあります。
そのため、ストレスがたまっていたり、不安を抱えていたりすると腸内環境が悪化しやすくなります。
便秘薬は、あくまで“腸”だけにアプローチするものです。
そのため、ストレスや不安といったメンタルの部分が便秘の原因である場合、その場しのぎで「出す」だけになってしまい、便秘の根本的な改善は難しいでしょう。
更年期の便秘は、ただの年齢のせいではありません。
ホルモンバランスの乱れやストレス、運動不足などが複雑に絡み合い、腸の動きが鈍くなっている可能性があります。
ここでは、今すぐ日常に取り入れられる、体にやさしく効果的な「便秘解消の生活習慣」を詳しくご紹介します。
起きたらまず、コップ1杯の白湯を飲んでみましょう。
胃腸が温まり、眠っていた腸の動きが活性化されます。
冷たい水よりも、内臓を刺激しすぎない白湯がおすすめです。
腸内環境を整えるには、毎日の食事がカギ。
次のような食材は、更年期の女性にとっても取り入れやすく、便通改善に役立ちます。
木綿豆腐
植物性たんぱく質が豊富で低カロリー。腸の炎症を抑えつつ、満腹感も得られます。
アーモンド
食物繊維やオレイン酸、ビタミンEが豊富。少量でも腹持ちがよく、おやつにも最適です。
オクラ・モロヘイヤ・なめこ
ぬめり成分であるムチンが腸を保護し、排便をサポート。
発酵食品(納豆・味噌・キムチなど)
腸内の善玉菌を増やし、便の質を改善します。
バナナやごぼう、玉ねぎ
オリゴ糖が豊富で、腸内のビフィズス菌のエサになります。
無理に食べ過ぎる必要はありません。
1日1品からでもOK。継続することが何より大切です。
ハードな運動でなくても大丈夫。
寝る前に5分、腹部をやさしくひねるストレッチや、骨盤底筋を意識する深呼吸を取り入れるだけで、腸の動きが整いやすくなります。
「更年期だから仕方ない…」とあきらめていた便秘。
でも、見方を変えれば、これは「体の声に耳を傾けるチャンス」。
便秘というサインをきっかけに、腸内環境を整え、食事や生活習慣を見直し、自分のために時間を使う――それは、閉経後の人生をもっと快適で豊かにするための第一歩です。
腸が整えば、心も整います。
まずは今日から、自分の体をやさしくいたわる「腸活習慣」を始めてみませんか?