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妊娠中の便秘対策!妊婦さんのための便秘解消方法

最終更新日:2024.1.25

妊娠中の便秘対策!妊婦さんのための便秘解消方法

妊娠に伴って起こる不快な症状をマイナートラブルと呼び、吐き気やむくみ、腰痛、頻尿、抑うつ、イライラ感など、その症状は実に様々です。中でも多いのが便秘の悩みであり、たくさんの妊婦さんが便秘による不快感を抱えています。

そこで今回は、妊婦さんが便秘になりやすい原因や、妊娠中の便秘改善方法などについて解説します。便秘の症状で困っている妊婦さんは、参考にしてくださいね。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

妊娠中に多い便秘の種類

便秘は原因によっていくつかの種類に分類され、妊娠中に多い便秘として大腸の蠕動運動低下による「弛緩性便秘」や、子宮の増大によって腸管が圧迫されて起こる「器質性便秘」があります。

便秘の分類 原因
弛緩性便秘 消化管の蠕動運動が低下して起こる
器質性便秘 子宮が大きくなることで腸管が圧迫されて起こる
直腸性便秘 便意を我慢したり、生活リズムが変化したりすることで起こる
痙攣性便秘 律神経の乱れにより大腸が過敏になることで起こる

妊婦さんが便秘になりやすい理由

妊娠中に便秘になる原因は、一つではありません。ホルモンバランスや自律神経など複数の要因が絡み合うことで、妊婦さんの便秘症状は引き起こされます。

妊婦さんが便秘になりやすい理由

女性ホルモンの影響

妊娠中は、女性ホルモンの1つである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量が増加します。プロゲステロンには大腸の蠕動運動を抑制する作用があり、便が腸内をスムーズに移動できなくなります。

また、プロゲステロンには体内の水分をためようとする性質があり、便に含まれる水分を腸内で過剰に吸収。便をカチコチに硬くして、便秘を悪化させます。

子宮の増大

妊娠後期になると、子宮の増大によって腸管が圧迫され、蠕動運動が抑制されて便秘に拍車をかけます。腸管と同時に血管も圧迫されるため、下半身にうっ血が起こりやすくなって痔を誘発したり、悪化させたりする場合も少なくありません。

痔の痛みを回避するために排便を我慢することが増え、便秘がひどくなるという悪循環に陥ることも珍しくありません(※1)。

自律神経の乱れ

妊娠中は女性ホルモンの変動により、自律神経が乱れやすくなります。妊娠していない時に比べてストレスや不安を感じやすくなり、交感神経が優位になって体は緊張・興奮状態に。

腸の蠕動運動は副交感神経が優位になるリラックス時に活発化するため、交感神経が働いている状態が続くと便秘になりやすくなります。

食事量・食物繊維の不足

妊娠中は、つわりの影響で思うように食べられない人も多いでしょう。食事量が少なくなる分、便の量も減少して排出困難に。

また、つわり中は食べられるものに偏りが生じ、食物繊維が不足しがちです。食物繊維は便秘改善・予防に欠かせない成分であるため、不足することで妊娠中の便秘が悪化します。

妊娠中の食事量・食物繊維の不足が便秘の原因に

冷え性

冷え性は、妊婦さんに多い症状の一つです。妊婦さん2810名を対象とした調査では、約6割に冷え性の自覚があるという結果が報告されています(※2)。

妊婦さんに冷え性が多い理由として、妊娠による自律神経のバランス変動が挙げられます。自律神経がバランスを崩すことで交感神経が緊張し、末梢の血管が収縮して血流量が減少。体の末端まで血液が行き届かなくなり、冷え性が引き起こされるのです。

冷え性による血流障害が起こると、内臓の働きも低下。腸の動きも鈍くなり、便秘になります。

運動不足

妊娠中は、体への負担や思わぬ危険を避けるため、運動不足になりがちです。運動量が低下すると腸への刺激が少なくなり、便秘の傾向が強くなります。

妊娠中の運動不足が便秘の原因に

※1:Hiratsuka, H. "Women and constipation." Nippon Daicho Komonbyo Gakkai Zasshi 43.6 (1990): 1070-1076.

※2:中村幸代, et al. "妊婦健診に携わる看護職の冷え症ケア実施の実態と影響要因." 日本助産学会誌 34.2 (2020): 133-142.

妊婦さんのための便秘解消方法!妊娠中でもできる便秘対策

妊娠中の便秘改善は、リラックス感を意識した方法がおすすめです。少しでも不安がある人、違和感がある場合はすぐに中止して、医師に相談してくださいね。

こまめな水分補給

妊娠中は、妊娠していないときよりも多くの水分を補給することが推奨されています。

体内の水分量が不足すると、腸内で便の水分が過剰に吸収されて便が硬くなり、排便困難な状態に。1日あたり1.5ℓ~2ℓを目安に、こまめな水分補給を意識しましょう。

こまめな水分補給

ツボ押し

全身に点在するツボを押したり、さすったりすることで、様々な症状を緩和するツボ刺激。

ある研究で、病院に入院している妊娠8週~37週の妊婦25名を対象にツボ刺激と排便状態の変化について調査したところ、ほとんどの妊婦がツボ刺激による便秘改善効果を実感したという結果が出ています(※1)。

  • 便秘解消効果が期待できるツボ

    1. 神門(しんもん):手のひらを上に向けた時に、小指から下に下ろした線と手首の付け根にある横ジワが交わる点
    2. 湧泉(ゆうせん):足の指を曲げた時に、足の裏で最も深くくぼむ部分

足浴

自律神経の乱れは、便秘の大きな要因です。

足浴の有用性について調べた研究では、足浴が交感神経の緊張を鎮め、副交感神経を優位にしてリラクゼーション効果をもたらすことが考えられる結果が報告されています(※2)。

このことから、足浴には自律神経を整える効果が期待できると考えられるでしょう。

また、妊婦さんに多い腰痛に対しても、足湯が緩和効果をもたらすことが分かりました(※3)。足湯は、妊娠中の不調を改善するために無理のない範囲でとり入れたいセルフケア方法と言えるでしょう

足浴で便秘解消

腸内環境を整える

便秘が続いている場合、腸内環境が悪化していることが少なくありません。

近年の研究によって、母親の腸内に存在するビフィズス菌が、新生児の腸管へ伝播することが証明されました(※4)。また、生後早期の腸内細菌叢の形成は、アトピー症状発症と関連があるといわれています(※5)。

腸内環境を整えるためには、腸内に善玉菌を増やす食べ物を摂ることが大切です。体調に問題がなければ、乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維が含まれた食品を意識して食べることをおすすめします。

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毎日決まった時間にトイレへ行く

たとえ便意を感じなくても、毎日同じ時間にトイレへ行くことが便秘改善につながります。

規則正しい生活は、自律神経を整えるためにも大切なポイントです。トイレのタイミングだけでなく、起床や就寝時間、食事のタイミングも出来るだけ毎日揃えるように調整しましょう。

毎日決まった時間にトイレへ行く

※1:井澤理恵, et al. "入院妊婦の便秘の現状とつぼ刺激による排便状態の変化: 便秘評価尺度を用いて." 東京医科大学病院看護研究集録 23 (2003): 39-41.

※2:工藤うみ, 工藤せい子, and 冨澤登志子. "足浴における洗い・簡易マッサージの有効性." 日本看護研究学会雑誌 29.4 (2006): 4_89-4_95.

※3:桃井雅子. "腰痛のある妊婦に対する足浴の効果." 日本看護科学会誌 19.1 (1999): 31-41.

※4:牧野博, et al. "新生児・乳児期の腸内細菌叢とその形成因子." 腸内細菌学雑誌 33.1 (2018): 15-25.

※5:布山裕一, et al. "Bifidobacterium 菌株の母子間伝播について (原著)." 東京慈恵会医科大学雑誌 128.2 (2013): 63-71.

妊婦さんのつらい便秘!改善できない場合は病院へ相談を

今回は、妊婦さんが便秘になりやすい原因や改善方法などについて解説しました。

妊娠中は、ホルモンバランスや食生活の変化など様々な要因によって便秘になりやすくなります。

妊娠中は便秘になりやすい

妊婦さんや出産後の女性の体はとてもデリケートな状態であるため、市販の便秘薬を自己判断で服用するのは危険です。

授乳中に薬を飲むことに不安を感じる人も少なくないでしょう。便秘が続く場合、まずはかかりつけの産婦人科で主治医に相談することをおすすめします。

便秘が続く場合は病院へ相談を
ビフィズス菌の力で、便通を改善
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