最終更新日:2024.9.10
「便は健康のバロメーター」と言われるほど、その時の健康状態が反映されます。
なぜなら、腸内環境の良し悪しによって便の太さや色、硬さ、臭いなどが変化するからです。
それでは、もしも細い便が出る場合は、どのような原因が考えられるのでしょうか?
今回は、便が細くなる原因や、細い便が出る病気、腸内環境を整える方法などを紹介します。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
平均的な便の太さは、直径3cm~4cmとされています。これは大腸の直径と同じ程度の太さです。
しかし、様々な理由によって直径1cm程度の細い便しか出ない場合があります。
まずは、細い便が出る時に考えられる主な原因をみていきましょう。
腸内にポリープが出来たり、腫れたりして部分的に腸が狭くなっていると、便がスムーズに通れず細くなります。
慢性的な便秘を抱えている人は便が硬く、排便時に肛門が切れて切れ痔(裂肛)になることが少なくありません。
一度切れ痔になると治りにくく、炎症などによって肛門が狭くなり、細い便が出る原因になります。
ダイエットや食物繊維不足などで便の量が少ないと、便が腸内を移動できません。
腸内に滞留した便は水分が過剰に吸収されて、硬く細い便となります。
便が柔らかいと排便するときに肛門が開かず、便が細くなります。
女性や高齢者の多くは排便に必要な腹筋力が弱く、しっかりと便を押し出せないために便が細くなりがちです。
中国伝統の医学である「中医学」では、便秘を6つの体質に分類しています。
そのうち、精神的ストレスが原因で引き起こされるのが「気滞型便秘」です。
生活環境の変化や運動不足が原因と考えられ、腸の蠕動運動が上手くいかないために便が細くなったり、排便しても便が残っているような不快感があったりします。
ほかにも腹部の膨満感やイライラしやすくなる、憂うつな気分になるといった症状を伴う場合が少なくありません(※)。
※徳井教孝, et al. "便秘の定義と便秘体質." 中村学園大学薬膳科学研究所研究紀要 5 (2012): 49-54.
一時的に細い便が出る場合は、それほど心配する必要はありません。
しかし、便が細い状態が続くときには、何らかの疾患が隠れている可能性も。
症状の一つとして便が細くなることがある疾患には、以下のようなものがあります。
腸管内にがんができると、便の移動が妨げられて便が細くなります。
大腸がんと同じように、腸内にできたポリープが便のスムーズな移動を邪魔して、細い便が出るようになります。
過敏性腸症候群(IBS)は、便秘や下痢といった便通異常や、腹痛など腹部不快感が続く腸障害の一つです。
過敏性腸症候群で下痢の症状が出ている場合は排便時に肛門が開かず、便が細くなることがあります。
便が細くなる大きな要因が、便秘です。便秘になる原因には食生活だけでなく、自律神経も深く関係しています。
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、日中は交感神経が優位になります。
交感神経が活発に働いていると、身体は活動モードで緊張した状態に。
一方、副交感神経は心身をリラックスさせたり、睡眠中に腸の蠕動運動を促進して、起床してからの排便を促す役割を担ったりしています。
自律神経は生活習慣や精神的な影響によってバランスを崩しやすく、交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいかなくなると「自律神経失調症」と呼ばれる様々な不調が表れます。
代表的な症状として挙げられるのが、便秘や下痢、不眠、頭痛です。
細い便を改善するためには、自律神経を整えて腸内を良い環境にすることが欠かせません。
そこで、次は自律神経のバランスを良くする生活習慣を紹介します。
出来ることから生活に取り入れてみませんか。
自律神経失調症を発症する原因の一つが、不規則な生活です。
そのため、毎日同じ時刻に起床・食事・入浴・就寝などを行うことが、自律神経失調症の予防に繋がるでしょう。
朝日を浴びると体内時計がリセットされ、体内リズムの乱れが整います。
また、副交感神経優位な状態から交感神経優位になり、身体が活動モードへと変化。それとともに“幸せホルモン”のセロトニンが分泌され始めます。
自律神経を整えるためには、3食のうちでも特に朝食をしっかり食べるようにしましょう。
朝食と自律神経活動について調べた研究で、朝食を食べない人は、日中も副交感神経が優位なままで推移し、脈拍数も少ないままとなることが示唆されました(※1)。
交感神経が優位になると、呼吸が浅く、短くなりがちです。
夕方以降は深い腹式呼吸をゆっくりするように心がけることで、副交感神経が優位になりやすくなります。
ぬるめのお湯に浸かることで副交感神経が優位になり、ぐっすり安眠できるようになります。
お湯にラベンダーなどの精油を数滴垂らすと、リラックス効果が一層高まってぐっすり眠れるようになるでしょう。