最終更新日:2024.9.11
自分が出した便の色をチェックしていますか? 便の色や硬さは健康のバロメーターです。
もし油っぽくて白い便が出ている場合は、注意が必要かもしれません。
今回は、油っぽくて白い便「脂肪便」について、その特徴や脂肪便が出る原因、脂肪便を防ぐための対策法などを解説します。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
そもそも、健康的な便の色はどんな色をしているのでしょう?
便の色は主に「ビリルビン」と呼ばれる胆汁の色素で決まります。
胆汁は最初の段階では黄色ですが、腸内細菌によって「ウロビリノーゲン」へと代謝され、茶色の色素である「ステルコビリン」に変化。この色素が便の色のもとになります。
腸内環境が良好な場合は、深い茶色から黄褐色をした便が排出されます。
つまり、健康的な便の色は「濃い茶色から黄褐色」と言えるでしょう。
通常の便よりも脂質の含有量が多く、水に浮いてキラキラとした光沢がある、あるいは石けんの被膜がある下痢便が「脂肪便」と言われています(※)。
油っこいものを食べ過ぎて消化不良が起きている時に、脂肪便が出やすいとされています。
しかし、何らかの疾患の症状として引き起こされている可能性も少なくありません。
※:中村光男, and 丹藤雄介. "慢性膵炎における脂肪便の病態解析." 日本消化器病学会雑誌 97.11 (2000): 1347-1354.
「体内にたまった脂肪便を出すダイエットをしたら、痩せた」
「脂肪便が出るのはダイエットが成功している証拠」。
脂肪便とダイエットの関係について、ネット上などでこのような情報を目にすることがあります。
実際のところ、脂肪便とダイエットの成功には関係があるのでしょうか?
脂肪便とダイエットの関係性について、解説します。
脂肪便の原因は様々で、脂肪の過剰な摂取や脂質代謝異常、吸収障害などが考えられます。
したがって、脂肪便が出たとしても体脂肪が減少しているわけではありません。
ダイエットの成功は、単に脂肪量が減少するかどうかだけでなく、バランスの取れた食事、適度な運動、生活習慣の改善など多くの要因に依存します。
そのため、ダイエットが成功しているかどうかは体重や体脂肪率、健康状態などを総合的に評価する必要があります。
脂肪便が出たら腸内に問題あり!何か起こる前の日頃の備え…>>推奨情報へ
脂肪便や白っぽい便を予防するため大切なのは、日頃の生活習慣や食生活を整えることです。
腸内環境を良好にして、正常な便をスッキリ出すのに効果的な方法をご紹介します。
概日リズム(サーカディアンリズム)」とは、生物学的なプロセスが24時間周期で変動する自然なサイクルのことを指します。
概日リズムは食事のタイミングや睡眠と密接に関連しています。
そのため、規則正しい生活を送ることで概日リズムが整い、腸の機能が安定して脂肪便の発生を抑制できます。
自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っています。
自律神経が乱れると交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいかず、胃や腸の正常な動きが阻害されて消化不良や便秘の原因に。消化不良は脂肪便の大きな要因です。
自律神経のバランスが崩れていると感じたら、ぬるめのお湯にゆっくり入浴したり、深呼吸したりして昂った交感神経を落ち着かせましょう。
脂肪便が出る「慢性膵炎」は、アルコールの摂取が原因で起こることが多い病気です。
アルコールが原因の慢性膵炎は「アルコール性慢性膵炎」と呼ばれ、発症は飲酒量と関連すると考えられています。
1日あたりの飲酒量がエタノール換算100g以上の場合、お酒を飲まない人に比べて11.2倍の発症リスクがあるという報告も(※)。
脂肪便が出やすい人はアルコールを控えるようにしましょう。
※:正宗淳, and 下瀬川徹. "アルコールと膵炎." 日本消化器病学会雑誌 109.9 (2012): 1526-1534.
今回は、脂肪便や白っぽい便が出る原因や対策などについて解説しました。
脂肪便が出たり、便の色が白っぽくなったりする場合は、何らかの腸の不調や消化器官の問題が潜んでいる可能性があります。
排便したら、すぐに流さず色をチェックして、通常とは異なる色の便が続く場合は医師や医療機関へ速やかに相談しましょう。
脂肪便が続くのは危険な兆候!?すぐ出来る改善方法は要確認!>>推奨情報へ