最終更新日:2025.01.07
最近、便秘や下痢といったお腹のトラブルやおならの回数が増えたという人は、腸疲労のせいかもしれません。
腸が疲れると、便秘や下痢、ガスの増加のほかに肌荒れや免疫力低下など様々な症状が表れます。
そこで今回は、腸疲労の原因や便秘・下痢・おならとの関係、治し方などについて解説します。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
腸には、主に3つの役割があります。
腸の役割
「腸疲労」とは、その名の通り“腸が疲れている状態”です。
腸が疲れると消化管が機能低下を起こすため、摂取した食べ物や水分の消化・吸収が阻害されます。
すると蠕動運動が鈍くなり、便が腸内で硬くなって便秘しやすくなります。
また、逆に腸管が便から水分を吸収せず、柔らかい便のまま排出されて下痢の状態を引き起こすことも。
腸が正常に働かなくなると、腸内に悪玉菌が増えて腸内環境が悪化します。
そうして腸の機能がますます低下し、便秘や下痢、ガスの大量発生によるおならの増加といった症状が表れるのです。
腸疲労によって腸内環境が悪化すると、便秘や下痢だけでなく、肌の調子や自律神経のバランスにも影響を与えます。
①免疫力の低下
腸には免疫細胞が多く存在しています。
そのため、腸が疲れると免疫力が低くなって風邪をひきやすくなったり、アレルギーを起こしやすくなったりします。
②うつ状態などのメンタル不調
腸では“幸せホルモン”と呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」が合成されています。
腸疲労によって腸内環境が悪化するとセロトニンの分泌量が減少し、うつ病などのメンタル不調を引き起こす可能性が高まります。
③睡眠の質の低下
セロトニンは、良質な眠りに欠かせない“睡眠ホルモン”である「メラトニン」の原料でもあります。
そのため、腸が疲れてセロトニンの分泌量が低下すると、睡眠の質が悪くなることが考えられます。
腸の蠕動運動は、副交感神経が優位な睡眠中に促進されるため、メラトニン不足によって寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすると便秘になりやすくなるのです。
このように、脳と腸がお互いに影響を与え合う関係を「脳腸相関」と呼びます。
便秘と下痢を繰り返している人や、あまり食べていないのに腹部に膨満感がある人、おならの回数が多い・臭い人は腸が疲れているかもしれません。
下のチェックシートで、あなたの腸の疲労度を調べてみましょう。
腸疲労度チェック
当てはまる項目が多いほど、腸が疲れている可能性が高いでしょう。
チェックが沢山ついた人は、これから紹介する腸疲労を治すための生活習慣や食生活がおすすめです。
腸の疲れを治して元気な状態に回復させるためには、生活習慣や食生活の見直しが大切です。
腸疲労の治すのに効果的な方法を紹介します。
腸疲労は、暴飲暴食が原因で引き起こされる場合が少なくありません。
食べ過ぎの日が続いたら、腸を休ませるために軽めの断食をしてみませんか。
ヨーグルトや食物繊維が豊富なフルーツ、オートミールのおかゆなど、消化吸収が良いメニューだけを食べるプチ断食なら体への負担が少なく、気軽に実践できるでしょう。
食物繊維は善玉菌のエサとなるだけでなく、便の容量を増やしてスムーズな排便を促進します。
食物繊維には水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります。
便秘が慢性化している人は、不溶性食物繊維を摂ると便秘が悪化する場合があります。
何日間も便秘が続いている人は、不溶性食物繊維が多い食べ物は控えましょう。
食物繊維が豊富な食品
【水溶性食物繊維が豊富な食品】
みかんなどの柑橘類、ワカメなどの海藻類、キャベツ、大根などの野菜類
【不溶性食物繊維が豊富な食品】
ゴボウ、レンコン、キノコ類、ココア
ビフィズス菌や乳酸菌は、腸内に善玉菌を増やすために欠かせません。
ヨーグルトをはじめ、納豆やキムチ、味噌などの発酵食品にはビフィズス菌や乳酸菌が含まれています。
また、ビフィズス菌や乳酸菌が豊富な食べ物を摂る際には、善玉菌の増殖をサポートするオリゴ糖が含まれた食品を一緒に摂ると、腸疲労の回復に効果的です。
オリゴ糖を含む食材には、ハチミツや大豆などの豆類、玉ネギ、アスパラガスなどがあります。
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腸が疲れて便秘が悪化している時は、排出しやすくするために水分をしっかり摂取しましょう。
朝起きてすぐに白湯を飲むと腸が刺激されて、排便しやすくなります。
白湯を用意する時間がない人は、常温の水で代用しましょう。
運動による腸への刺激は、排便を促します。
腸疲労が原因の便秘を治すためには、軽めの運動を毎日行うことが効果的です。
朝のウォーキングはセロトニンの分泌を促進し、自律神経を整える効果が期待できます。
体を動かすのが苦手な人は、腹式呼吸を実践するだけでも自律神経が正常に働きやすくなるでしょう。
今回は、腸疲労の原因や治し方などについて解説しました。
腸が疲れる原因は、生活習慣や食生活、ストレスなど多岐にわたります。
手間をかけずに腸内環境を整える方法として、ビフィズス菌やオリゴ糖が配合された腸活サプリメントを活用するのもおすすめです。
もしも便秘や下痢が慢性化していたり、身体に不調が出ていたりする場合は、消化器の専門医や医療機関へ早めに相談しましょう。