最終更新日:2024.9.10
「便秘」は、いつでも誰にでも起こり得る身近な症状であり、その原因は様々です。
実は便秘になる要因として、季節が関係していると考えられています。
便秘に注意が必要な季節、それは夏!
夏といえば熱中症や夏風邪、夏バテへの対策が中心になりがちですが、実は便秘に対しても注意が必要なのです。
そこで今回は、夏に便秘しやすくなる理由や、夏の便秘を解消する方法、夏に乱れがちな自律神経を整える方法などについて、分かりやすく解説していきます。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
夏に便秘しやすくなる代表的な理由が、自律神経の乱れによるものです。
そこで最初に、自律神経の種類と働き、乱れる原因について解説します。
「自律神経」は、私たちの意思には関係なく血圧や呼吸、内臓の働き、代謝といった体内機能のほとんどを調整して、身体を健康的な状態に保つ神経系です。
日中に働く交感神経と、夕方から夜間にかけて優位になる副交感神経があります。
交感神経の主な働きは、心拍数の増加や血圧上昇、発汗の促進などです。
一方、副交感神経は心拍数や血圧を低下させ、筋肉の緊張を緩めて心身をリラックスモードへと切り替えます。
自律神経は生活習慣やメンタルの影響を受けやすく、不規則な生活やストレスの蓄積などによって、交感神経と副交感神経がスムーズに切り替えられなくなることも珍しくありません。
それが「自律神経が乱れた」「自律神経のバランスが崩れた」状態であり、いわゆる「自律神経失調症」です。
自律神経失調症になると、急に心拍数が上がる、胃腸の調子が悪くなる、顔が突然ほてるなど様々な不快症状が起こり、日常生活に支障をきたします。
クーラーが効いた部屋で体が冷えた状態から、太陽が照りつける外へと移動して一気に体温が上昇、そして再び涼しい室内へ…。
気温差が激しい環境を行き来すると、気温に身体を慣れさせようとして自律神経がオーバーワーク状態に。自律神経が乱れる原因となります。
「夏場の入浴はシャワーのみ」という人も、自律神経の乱れに注意が必要です。
シャワーだけでは体の深部まで体温が上がらないため、体温調節機能が低下して自律神経がバランスを崩しやすくなります。
また、暑さによるストレスも自律神経に悪影響を与える一因です。
高温でのイライラや高湿度による不快感などによって自律神経が乱れると、睡眠の質も低下。日中のパフォーマンスを低下させる要因となり、ますますストレスが蓄積していきます。
自律神経が乱れると、なぜ便秘になるのでしょうか?
実は、腸内環境と自律神経には深い関係性があることが分かっています。
通常は、睡眠中に副交感神経が活性化して腸の蠕動運動が促進され、便を排出する準備が整えられて翌朝の排便につながります。
しかし、夏は夜になっても交感神経が昂った状態が続きやすく、就寝時間になってもなかなか副交感神経へと切り替わりません。
すると、腸の蠕動運動が鈍くなって便秘になりやすくなるのです。
それだけではありません。夜になっても交感神経が優位であるということは、緊張・興奮状態が持続しているということです。
就寝時に交感神経が優位であると、寝つきが悪くなります。
たとえ寝つけたとしても、浅い眠りとなって中途覚醒や早朝覚醒などの不眠症状を起こしやすくなるでしょう。
不眠は腸内環境を悪化させる要因の一つです。腸内環境が悪くなると、ますます自律神経のバランスが崩れて眠れなくなる→便秘が悪化する、といった悪循環に陥ってしまうかもしれません。
夏に便秘しやすい理由は、自律神経の乱れだけではありません。
夏ならではの食生活も、腸内環境を悪化させる大きな要因です。
暑い日に飲む炭酸飲料の美味しさは格別ですよね。
また、甘いジュースやアイスも夏の疲れを癒してくれそうで、コンビニなどでつい買ってしまうという人も多いのではないでしょうか?
しかし、多くの炭酸飲料やジュース、アイスクリームには砂糖がたくさん入っています。
白砂糖を摂りすぎると体温が下がり、酵素の働きが鈍化。腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が優勢になります(※)。
また、糖分は体内でエネルギー源として使われますが、過剰に摂り過ぎた場合、糖質は中性脂肪へと変化します。中性脂肪が多いと腸内環境が悪化しやすくなり、便秘を招きます。
夏場の水分補給にスポーツドリンクを飲む人も多いでしょう。
しかし、スポーツドリンクには糖分が多く含まれています。
大量の汗をかく野外活動などの際には、スポーツドリンクに含まれる糖分が素早くエネルギーに変換されるため、熱中症予防や疲労回復に効果的です。
ところが、室内など汗をかかない環境で大量に飲むと「ペットボトル症候群」を発症する可能性があります。
ペットボトル症候群は、正式には「清涼飲料水ケトーシス」と呼ばれ、スポーツドリンクや甘い炭酸飲料などを大量に飲むことで血糖値が急激に上昇する症状です。
高血糖になると喉が渇きやすくなり、渇きをいやすためにスポーツドリンクやジュースを大量に飲んで血糖値が上昇。
場合によっては意識障害や昏睡状態に陥ることがあり、命にかかわる重篤な事態を招きかねません。
喉が渇いたときは、水やノンカフェインの麦茶、ハーブティーなどで喉を潤すようにしましょう。
暑い中で飲むアイスコーヒーは、格別な味わいですね。
しかし、飲み過ぎには注意が必要です。コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があり、体内の水分を排出してしまうからです。
体内の水分量が少なくなると、腸内にある便に含まれた水分も少なくなります。
すると、便が固くなって排出困難な状態に。腸内にとどまった便は、腸管でさらに水分が吸収されてますます硬くなり、便秘が悪化します。
とはいえ、コーヒーの香りにはリラックス効果があり、副交感神経を刺激する作用も。
また、コーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」には、血圧を下げる効果や血糖値の上昇を抑える作用があることが分かっています。
1日3杯程度を目安に、上手にコーヒーと付き合いましょう。
キンキンに冷えたビールを飲むことを楽しみに、一日頑張っている人も多いかもしれません。
しかし、アルコールには強い利尿作用があり、体内の水分が失われる大きな要因となります。
アルコールを飲む時は、合間に水を摂取して体内から水分が減るのを防ぎましょう。
夏は食欲が低下しがちです。しかし、食事の量が減ると便の量も減少するため、排出するのが難しくなって腸内に留まる時間が長くなります。
すると便が硬くなって、便秘がひどくなるのです。
便をスムーズに排出するためには、便の量を増やすことが大切です。
水溶性食物繊維が多く含まれるワカメやヒジキなどの海藻類や、ペクチンが豊富なリンゴなどを摂ると、便秘を予防できます。
※東川尅美, and 下坂智恵. "日常生活と薬膳に関する研究 (第 2 報): 食材と体質改善." (1999).
夏の便秘を改善するためには、食生活の改善とともに自律神経を整えることが大切です。
自律神経を整えるのに効果的なポイントを紹介します。
寝る前の時間の過ごし方を工夫するだけで、自律神経を整える効果が期待できます。
夕食は就寝時間の2時間前までには済ませて、照明は暖色系で少し暗めにしましょう。
入浴は就寝前の1時間程度前に、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。
その際に、ラベンダーやジャスミンなどのアロマオイルを使うと、より高いリラックス効果が得られます。
ついやりがちなのが、ベッドや布団の中でスマホを見ること。
しかし、スマホから得る情報によって感情が昂り、交感神経が優位になって寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。
ベッドや布団へスマホを持ち込むのはやめましょう。
起床後は、太陽の光を全身で浴びましょう。
交感神経が優位になり、体が活動モードへと切り替わります。体内時計もリセットされ、自律神経が整いやすくなります。
また、朝食をしっかり食べる、ウオーキングなどの軽い運動をすることも自律神経を整えるのに効果的です。
脳と腸には、お互いに影響を与え合う「脳腸相関」があることが、近年の研究で明らかになりつつあります。
腸内環境の悪化によって自律神経が乱れ、自律神経が乱れると腸内環境が悪くなるという負のサイクルを断ち切るためにも、腸内環境を整えることを心がけましょう。
栄養バランスが取れた献立、発酵食品や食物繊維が豊富な食品の摂取などが腸内に良い影響を与えます。
食生活の改善が難しい場合は、腸内に善玉菌を増やす成分が配合されたサプリメントを活用するのもおすすめです。
その場合は、腸まで届くビフィズス菌や、ビフィズス菌のエサになる成分が配合されたサプリメントを選ぶと、効率的に腸内環境を良くできるでしょう。
今回は、夏に便秘になる原因と、夏の便秘解消法などについてお伝えしました。
暑さが年々厳しさを増し、それに伴って体調を崩す人も増えています。
ある研究で、腸内細菌叢の変動と一日の最高気温の関連性について調査したところ、気温が低いほど腸内細菌叢の安定が認められました。
つまり、高温になる夏は腸内細菌叢が不安定になることが推測されるのです(※)。
便秘は「たかが便秘」と軽く見られがちですが、放置すると腸内に留まった便から出る悪性物質によって体の免疫力が低下したり、吐き気や膨満感を引き起こしたり、場合によっては腸閉塞など重篤な事態を招く可能性もあります。
夏の便秘を解消するためにも、自律神経を整える生活や、腸内環境に良い食生活を心がけるようにしましょう。
腸内に善玉菌を増やす乳酸菌やビフィズス菌が配合されたサプリメントを活用するのも、おすすめです。
※田中雄介. "腸内細菌巣の変化と気象因子との関連に関する研究." 民族衛生 38.3 (1972): 113-121.
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