最終更新日:2025.10.28
便秘が原因で体臭や口臭がキツくなる?体臭や口臭がうんち臭くなる理由と解消法
便秘が続くと、お腹の張りや下腹部の重さといった不調に加えて、「口臭や体臭が臭くなった」と感じる人が少なくありません。
便秘で、口臭や体臭がうんち臭くなるのはなぜでしょうか?
本記事では、便秘が原因で口臭・体臭がうんち臭くなるメカニズムと、腸内環境を整えて悪臭を根本から改善する方法について、分かりやすく解説します。
便秘と同時に口臭・体臭を改善・予防して、すっきりクリアな毎日を手に入れましょう。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 食品保健指導士
・管理栄養士
目次
便秘が続くと体の中から臭うのはなぜ? | 腸内環境と口臭・体臭の関係
「歯磨きしても口臭が消えない」「体を洗っても、臭いが残っている気がする」。
臭い対策をしても消えない、うんち臭い口臭や体臭の原因は、便秘かもしれません。
まずは、便秘のせいで口臭や体臭がうんち臭くなるメカニズムについて、解説します。
便秘で体臭や口臭がうんち臭くなる理由
1. 腸内容物の滞留
通常、消化された食物残渣は小腸を経て大腸に送られ、約24時間前後で大腸を通過します。
しかし、便秘になると通過時間が48〜72時間以上にも及び、内容物が腸内に長期間留まることになります。
2. 腐敗代謝による臭気物質の生成
内容物が腸内に長く滞留すると、善玉菌が行う糖質発酵よりも、悪玉菌によるタンパク質・含硫アミノ酸の腐敗代謝の方が活発になります。
腐敗代謝が活発化することで、悪臭のもとになる臭気成分が大量に生成されます。
代表的な臭気成分と、具体的にどんな臭いがするのかを以下に挙げます。
【便秘で発生する代表的な臭気成分】
便が腸内で滞留して発生するガスや臭気成分には、それぞれ特有の発生メカニズムと臭いの特徴があります。
<主な臭気成分>
- アンモニア: タンパク質の分解過程で生成され、刺激臭を伴います。
- 硫化水素(H₂S): 含硫アミノ酸(メチオニン・システインなど)の分解時に発生し、いわゆる “卵の腐った臭い” と表現されます。
- メチルメルカプタン: 揮発性硫黄化合物で、人が「くさい」と感じやすい成分です。
- インドール: トリプトファンが腸内で分解されて生成される芳香族化合物。便臭に独特の甘く土のような香りを与えます。
- スカトール: こちらもトリプトファン由来ですが、より強い糞臭に近い刺激的な臭いを持つ物質で、体臭や便臭の原因として知られています。
このような臭気物質が生成される腸内環境は、“タンパク質分解が優位な腸内環境”です。
そのため、悪臭の原因となる物質の生成が促進されます。
また、便秘による腸内環境の悪化は、短鎖脂肪酸(SCFA=酢酸・酪酸・プロピオン酸)の減少にもつながります。
短鎖脂肪酸の主な作用は、腸のpHを弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑制することです。
そのため、減少すると腸内はアルカリ性に傾き、腐敗菌が増殖しやすくなります。
3. 血液・体液を通して全身へ
腸内で生成された臭気物質や、リポポリサッカライド(LPS)のような内毒素は、腸管から吸収されて血液へ入ることがあります。
通常は、肝臓でこのような臭気成分や内毒素の解毒・代謝が行われますが、便秘や腸内滞留が長期化していると、解毒が間に合いません。
こうした場合に、臭気物質が呼気・汗・皮脂腺を通じて口臭・体臭として体外に排出されるのです。
4. 腸粘膜バリアの機能低下
便秘や腸内容物の滞留、腸内での異常発酵が続くと、腸の防御機能である「腸粘膜バリア」が弱まりやすくなります。
その結果、腸から不要な物質が漏れ出し、全身に影響を及ぼすことがあります。
腸粘膜バリア低下と口臭・体臭悪化の関係
- 内容物が溜まることで腸管内圧が上昇し、腸壁や粘膜へのストレスが増加します。
- 腸壁(腸上皮細胞・粘膜層)の構造やバリア機能が弱まり、悪化すると「リーキーガット(腸漏れ)」状態になります。
- 腸粘膜の透過性が高まると、通常は排除されるべき物質(腐敗ガス、内毒素LPS、微生物由来分子など)が血中へ移行しやすくなります。
このような状態になると、腸内で発生した臭気物質が血中を介して体外に放出され、うんちのような口臭や体臭として感じられる可能性が高まります。
5. 便秘を発端とした口臭・体臭悪化の悪循環が発生
これまでの①〜④のプロセスが進行すると、次のような“負のループ”が形成されます。
【便秘による悪循環のメカニズム】
腸の動きが鈍ることで、臭気物質やガスの発生が加速し、さらに腸の環境を悪化させるという悪循環が起こります。
<主な悪循環の流れ>
- 腸内容物の滞留: 腐敗ガスや臭気物質が増加します。
- 腸運動の低下: ガスや便の滞留による物理的な負荷に加え、自律神経・筋層・粘膜にも悪影響を及ぼします。
- 腸内環境の悪化: 腸内細菌叢(腸内フローラ)、pH、短鎖脂肪酸の生成能力が乱れます。
- 悪化の連鎖: これらがさらに臭気の増加と滞留を促進し、悪循環を形成します。
この「滞留→腸内環境の悪化→内容物の腐敗→便秘→滞留」というループが長期化すると、臭い・便通ともに改善が難しい状態へと移り変わります。
このループを打破するためには、そもそも便を滞留させないことが重要なのです。
うんち臭い口臭・体臭は腸活で改善! | 腸内フローラの再構築法
ここまで見てきたように、なかなか消えないうんち臭い口臭や体臭の陰に、腸内環境の悪化が隠れている場合があります。
では、その根本を断つにはどうすればよいのでしょうか。
カギとなるのは、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを整え直すことです。
悪玉菌が優位になっている腸内環境を、善玉菌が主導する状態に戻すことが、うんち臭い口臭・体臭の連鎖を断ち切る、最も確実な方法です。
腸内環境を再構築するために、以下の3ポイントを意識しましょう。
1. 発酵菌を“補給”する
腸内の善玉菌を外から補うことは、腸内フローラ再生の第一歩です。
ビフィズス菌や乳酸菌は、腸内で酢酸や乳酸を生成してpHを弱酸性に保つ働きがあります。
この酸性環境が、悪玉菌の繁殖を抑え、腐敗ガスの発生を防ぐ防御壁となるのです。
ビフィズス菌の中でも、特に注目されているのが「BB536」。
研究では、BB536を含むサプリメントの摂取によって便中のアンモニア量や腸内腐敗物質の傾向が改善される可能性が報告されており、腸内環境の酸性化や有害ガス生成の抑制に一定の作用が期待されます。
ただし、効果は個人差や腸内細菌叢の状態によって異なることがあります。
腸内環境の改善には、ビフィズス菌の摂取に加えて、食物繊維や水分補給、適度な運動など生活習慣の見直しと組み合わせるようにしましょう。
2. 善玉菌の“エサ”を与える
ビフィズス菌などの善玉菌を増やすには、エサとなるプレバイオティクス(オリゴ糖・食物繊維)の摂取が欠かせません。
特に水溶性食物繊維(イヌリン、難消化性デキストリンなど)は、ビフィズス菌の増殖をサポートし、短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸など)の産生を促進します。
短鎖脂肪酸は腸の蠕動を助け、腸内pHを酸性に維持し、悪臭物質の発生を根本から抑制する大切な存在です。
また、ビフィズス菌(プロバイオティクス)+オリゴ糖(プレバイオティクス)を同時に摂取する「シンバイオティクス」は、単独摂取よりも腸内環境改善効果が高いことが報告されています。
つまり、「菌を入れるだけ」ではなく、「菌を育てる」ことが、うんち臭い口臭や体臭を改善・予防するために重要なのです。
3. “出せる腸”をつくる生活習慣
いくら善玉菌を増やしても、腸が動かないままでは、老廃物やガスが再び溜まりやすくなります。
そこで重要なのが、腸の蠕動(ぜんどう)を取り戻す習慣づくりです。蠕動運動を促す4つの生活習慣を紹介します。
【便通改善に効果的な生活習慣】
日常にちょっとした行動を取り入れることで、腸の働きが活発化して自然な排便リズムを整えられます。
<実践ポイント>
- 朝起きてすぐ常温水を飲む: 寝ている間に失われた水分を補い、腸をやさしく刺激します。
- お腹を温める: 血流を促進し、腸の筋肉が自然に動き始めます。
- 軽いウォーキングやストレッチ: 骨盤周辺の筋肉を動かすことで、腸の蠕動運動をサポートします。
- ぬるめのお湯への入浴(38〜40℃): 副交感神経を優位にしてリラックスを促し、自然な排便につながります。
このように、“菌の補給+栄養源+動き”の3つを揃えることで、腸は本来の流れと機能を取り戻していくのです。
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腸内環境改善がもたらす4つの変化 | 便秘改善だけじゃない効果
腸内環境を整えることは、単なる便秘対策にとどまりません。
血流や代謝、ホルモンバランス、免疫・炎症の4つの側面に好影響をもたらし、肌の明るさやツヤ、気分の安定、体調の改善までつながります。
腸内フローラを整えることで実感できる4つの具体的な変化と、その健康・美容への効果を解説します。
1. 血流・栄養供給の改善
腸内に老廃物や内毒素(例えばリーキーガット症候群=腸粘膜バリアが弱くなり漏出が起こる状態)がたまると、毛細血管炎症や血流低下を招きやすくなります。
腸環境が整うと、これらの負荷が軽減され、肌・髪に酸素や栄養が届きやすくなります。
その結果、肌の明るさ・ハリ・キメが改善し、顔色も自然と明るくなっていくのです。
2. 代謝・ターンオーバーの正常化
腸内で生成される短鎖脂肪酸(SCFA:酢酸・酪酸など)は、腸壁・肝臓・そして全身の代謝に影響を及ぼします。
短鎖脂肪酸が多いと炎症が抑えられ、肌細胞のターンオーバーが正しく回り始め、くすみ・吹き出物・ざらつきの改善や、肌のなめらかさ復活に繋がります。
3. ホルモン分泌・神経(眠り・気分)の安定
腸はセロトニンなどの神経伝達物質やホルモン合成に関わるため、腸内環境が乱れると“眠れない”“調子が出ない”といった状態に陥ることがあります。
腸内環境を整えれば、セロトニンやメラトニンの産生が正常化され、睡眠の質・気分の安定・ストレス軽減も期待できるでしょう。
4. 免疫・炎症バランスの回復
腸は免疫細胞の約70%が集まる場所とも言われ、腸内環境の悪化は全身的な炎症レベルを上げる要因になります。
腸内環境が理想的なバランスであれば、免疫の過剰反応や慢性炎症が抑えられ、肌の赤み・ごわつき・敏感さが改善しやすくなるのです。
つまり、腸を整えることは単に口臭や体臭を消すだけでなく、見た目の変化にも影響を与える根本的なケアなのです。
体臭・口臭の軽減に加えて、肌ツヤや顔色の変化は、腸がきちんと働き始めた分かりやすいサインといえるでしょう。
まとめ | 腸を整えることは口臭・体臭改善への第一歩
歯磨きしても消えないうんち臭い口臭や、体を洗っても残る体臭を根本から改善するには、腸内環境へのアプローチが欠かせません。
腸内環境を整えることで、悪臭物質の発生そのものを抑えることができます。
最後に、日常で意識したいポイントをおさらいしましょう。
腸内環境を整える3つのポイント
腸内細菌叢(腸内フローラ)の細菌バランスを保つことで、うんち臭い口臭や消えない体臭の原因である便秘を根本から改善できます。
<実践方法>
- 善玉菌を補給する
- 善玉菌のエサを与える
- 腸が動く生活習慣をつくる
ビフィズス菌や乳酸菌を取り入れることで、腸内を弱酸性に保ち、アンモニアなどの臭気物質が発生するのを防ぎます。
オリゴ糖や水溶性食物繊維は、腸内で善玉菌を増やす栄養源です。サプリや食事での併用が効果的です。
目覚めてすぐの水分摂取や軽い運動、ぬるめの入浴で腸の蠕動運動を促し、便通リズムを整えます。
便秘を放置すると、腸内は「腐敗しやすい環境」に傾き、うんち臭い口臭や体臭の悪循環が進みます。だからこそ、日々の腸活で滞留便を発生させないことが重要です。
腸内環境が整うと、体臭・口臭の軽減だけでなく、肌ツヤや顔色の改善、全身の軽さなど、健康面全体への好影響も実感できます。
内側から臭わない体を取り戻すため、自分に合う方法で毎日の腸活を実践しましょう。
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免責事項
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