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便秘が痔の原因?女性は便秘のせいで痔になりやすい?女性に多い便秘と痔の関係

最終更新日:2024.9.26

便秘が痔の原因?女性は便秘のせいで痔になりやすい?女性に多い便秘と痔の関係

「痔は男性の病気」というイメージがあるかもしれませんが、実は女性にも多い疾患です。

しかし「お尻を見せるのが恥ずかしい」「どんな治療をされるのか分からなくて怖い」などの理由で病院に行かず、放置している間に悪化することが少なくありません。

そこで今回は、便秘が原因で痔になる理由や、女性が痔になりやすい理由、痔の改善につながる便秘解消法などについて解説します。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

便秘と痔の関係は?便秘の人が痔になりやすい理由はなぜ?

お尻の異変に気付いても肛門科を受診するのに抵抗を感じて、市販薬を使い続けていませんか?

女性の中には“隠れ痔主”が多く、市販薬で対処しているうちに痔が悪化して手術をする羽目になった…という人も少なくありません。

まずは、便秘と痔の関係について解説します。

便秘と痔の関係は?便秘の人が痔になりやすい理由はなぜ?

便秘と痔の関係

痔になる主な原因は、便秘です。

便秘になると、腸内に便が滞留している間に便に含まれる水分が腸管によって吸収され、便が硬くなります。

硬くなった便は、排便時にいきんでもなかなか出せません。無理に出そうとすると肛門周辺に強い力がかかり、肛門周辺がうっ血して痔を引き起こします。

そのため、痔を治すには便秘を解消することが必須なのです。

便秘と痔の関係

女性がなりやすい痔の種類は?痔の種類で悪化する理由が違う?

痔にはいくつかの種類がありますが、女性に多いのが「いぼ痔(痔核)」「裂肛(れっこう:切れ痔)」です。

①いぼ痔(痔核)

排便時にいきむことで肛門の内側や直腸がうっ血したり、内出血を起こしたりして腫れあがったコブのようなものが「いぼ痔(痔核)」です。

肛門と直腸の境目から内側にできたものが「内痔核」、外側にできたものが「外痔核」です。

便意がないにもかかわらず長時間トイレにこもったり、強い力を肛門にかけ続けたりすることで、悪化しやすくなります。

②裂肛(切れ痔)

便秘で硬くなった便を出す際に、肛門が裂けることで起こるのが「裂肛(切れ痔)」です。

数日で治る急性裂肛と、同じ部分が何度も切れる慢性裂肛があります。

慢性裂肛の場合、傷が深くなって硬くなり、肛門が狭くなって排便のたびに強い痛みを感じるようになります。

痛みを避けるために排便を我慢してますます便秘が悪化する…といった悪循環に陥ることも珍しくありません。

痔の種類

女性に多い便秘と痔!女性が便秘しやすい原因は?

痔を引き起こす大きな要因である便秘は、女性に多い症状です。

女性が便秘しやすい主な原因を挙げていきます。

①女性ホルモンの影響

女性ホルモンの影響によって、生理前後や妊娠中は体がむくんだり、血流が悪くなったりします。血行不良は、痔のリスクを高める大きな要因です。

また、女性ホルモンは自律神経の働きにも影響を与えます。自律神経が乱れると腸の蠕動運動が鈍くなり、便秘しやすくなります。

②冷え性

便秘と同じく女性に多い症状が、冷え性です。

冷え性になると、手足だけでなく肛門周辺も血行不良になってうっ血しやすくなり、痔を招きます。

そのため、冬になると痔になる人や痔の症状が悪化する人が多くなるのです。

夏場でもクーラーが効いた環境にいる時間が長いと、体が冷えて便秘や痔が悪化しやすくなります。

冷え性

③腹筋力が弱い

女性は男性に比べて腹筋力が弱く、便を外へ押し出す力が足りないことも女性に便秘の人が多い要因です。

便をなかなか排出できないため、過度ないきみや長時間のいきみによって無理に便を出そうとして肛門周辺がうっ血していぼ痔になったり、切れ痔になったりします。

④妊娠・出産

妊娠すると骨盤内の血流が増えて、肛門周辺の血行不良を引き起こします。

また、胎児の成長とともに肛門や子宮が圧迫されて、肛門周りの血流が悪化してうっ血。痔のリスクが上昇するのです。

さらに、妊娠中は女性ホルモンの影響で便秘しやすくなり、便が硬くなって切れ痔になりやすくなります。

妊娠・出産による痔

出産後も体内が水分不足になったり、自分のタイミングでトイレに行けないことが多くなったりして、便秘の症状を招きます。

痔の原因である便秘を解消する方法!腸内環境を整えてお通じをスッキリ

痔を防ぐために効果的なのが、便秘を改善することです。

便秘を改善するためには、腸内環境を良い状態に整えることが欠かせません。

腸内環境を改善して便秘を解消するのに効果的な方法を、食生活と生活習慣に分けて紹介します。

便秘解消に効果的な食生活

①食物繊維が多い食べ物を摂る

食物繊維は、水分を含んで便を排出しやすい硬さにしたり、便の量を増やして腸内を移動しやすくしたりします。

また、食物繊維は善玉菌のエサとなって増加を手助けし、腸内環境を良好にします。

食物繊維が多い食べ物を摂る

②水分をこまめに摂る

体内の水分量が減ると、腸内の便に含まれた水分も腸管で過剰に吸収されて、便が硬くなります。

便が硬くなると排出しにくくなり、いぼ痔や切れ痔になりやすくなります。

特に出産後は水分不足になりやすいため、こまめな水分補給が大切です。

③砂糖が多く含まれている食べ物を控える

砂糖は悪玉菌のエサになります。そのため、糖分が多い食べ物や飲み物を多く摂ると、腸内に悪玉菌が増殖して腸内環境が悪化する要因に。

特に生成された白砂糖は、腸内環境が悪くなりやすいとされています。

便秘気味の人は、甘い食べ物や飲み物を控えるようにしましょう。

④脂肪分が多い食べ物は避ける

ファーストフードや加工食品といった脂肪分の多い食べ物は、消化に時間がかかります。

そのため腸の動きが鈍くなり、悪玉菌の増加や便の効果を招きやすくやすくなります。

便秘が続いている時は、脂肪分が多い食べ物は避けましょう。

脂肪分が多い食べ物は避ける

⑤良質な植物性油脂を適度に摂る

オリーブオイルやアマニオイル、ココナッツオイルなどの良質な植物性油脂を適度に摂ると、腸内での便の移動がスムーズになって便秘解消に効果的です。

オリーブオイルとココナッツオイルは1日大さじ2杯程度、アマニ油は小さじ1杯程度を目安に摂ることをおすすめします。

便秘を治すためにおすすめの生活習慣

①朝食をきちんと食べる

ダイエットのためや時間がないといった理由で朝食を食べない人は、注意が必要です。

朝食を食べない人は便秘しやすく、太りやすいことが調査によって報告されています(※)。

朝食には、自律神経を切り替えて日中の活動に備えるほか、胃腸を刺激して排便を促す効果があります。

朝食をきちんと食べる

また、朝食のメニューに“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの原料となるトリプトファンを含む食品を使うことで、セロトニンの分泌量を増やす効果も期待できるでしょう。

※平野春樹, and 稲葉洋美. "大学生の朝食欠食に関する文献レビュー." 日本家政学会誌 70.1 (2019): 1-13.

②便意を我慢しない

便意を我慢することが多い人は、直腸の感覚が鈍くなって「直腸性便秘」になりやすくなります。

直腸性便秘は、便が直腸まで移動してきているのに便意を感じず、排便のタイミングを逃して腸内に便が滞留する便秘です。

腸内に溜まった便は腸管によって水分が吸収され、硬くなります。その結果、排便時にいきんだり、肛門が切れたりして痔になるのです。

便意を感じたら、できるだけ速やかにトイレへ行くことをおすすめします。

便意を我慢しない

③体を冷やさない

体が冷えて血行不良になると、腸管の動きが鈍くなって便秘しやすくなります。

また、肛門周辺の血流も悪くなってうっ血しやすい状態に。痔になる大きな要因となります。

温かいお湯を張った湯船につかる、ウォーキングやストレッチなど適度な運動を毎日短時間でも行う、下半身を温めるインナーを着用するなど、体を冷やさないための工夫をしましょう。

④ストレスを溜めない

ストレスがたまると自律神経が乱れて、便秘しやすくなります。

ストレスを感じると、日中に働く交感神経が夜になっても昂った状態が続き、副交感神経に切り替わりません。

ストレスを溜めない

副交感神経は睡眠中に大腸の蠕動運動を促進して便を移動させますが、自律神経がバランスを崩すと便が腸内を移動できず、停滞します。

その結果、便から水分が抜けてカチコチになり、排便に時間がかかったり、肛門が切れたりして痔を引き起こします。

便秘を解消・予防するためにも、ストレスを溜めないようにしましょう。

便秘を解消して痔を改善!女性に多いいぼ痔・切れ痔を防いで快適な毎日を

今回は、女性に多い便秘と痔の関係について解説しました。

便秘と痔は切っても切り離せない関係にあります。痔で悩んでいる人は、そもそもの原因である便秘を改善することが、痔を治すための近道です。

腸内環境を改善するためにも、食生活や生活習慣を見直してみませんか。

便秘を解消して痔を改善!

とはいえ、忙しい毎日の中で腸内環境を意識した食事のメニューを考えたり、生活習慣を徹底したりするのは難しいものです。

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