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お腹が張る、腹部膨満感の原因と解消法|便秘でガスが溜まるのはなぜ?

最終更新日:2024.3.4

お腹が張る、腹部膨満感の原因と解消法|便秘でガスが溜まるのはなぜ?

「お腹が張ることが増えた」「ガスがお腹にたまって苦しい」「お腹がパンパンに張るのは病気が原因?」そんな、お腹の張りに伴う不快感や不安を抱いていませんか?

お腹が張る原因は、人それぞれ。そのため、お腹の張りを解消するためには、まずお腹が張る理由を探ることが大切です。

そこで今回は、お腹がパンパンに張る原因や解消方法、さらにはお腹が張らないようにするための生活習慣や食生活などについて解説します。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

お腹が張る原因はなに?腹部膨満感が起こる理由とは

お腹が張って苦しかったり、痛かったりして不快感がある状態について、医学的には「腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)」と呼びます。

腹部膨満感が生じる理由は多岐にわたり、解消法も原因によって様々です。

まずは、お腹が張る原因として考えられる代表的な状態や疾患を挙げていきます。

便秘

お腹が張る原因としてまず考えられるのが、便秘です。

食べ物は口から入ると、胃で消化されて十二指腸へ運ばれ、小腸へ移送されます。その後、大腸で水分やミネラル分が吸収され、便になります。

便は大腸のS状結腸に溜められ、蠕動運動によって直腸へと押し出され、体外へと排出されます。

食べ物が便になる排出されるまで

しかし、この過程で何らかの問題が生じて腸の中に便が滞留して排出できない場合、便秘の状態となります。

腸内に便が長時間留まると、腸内環境が悪化して悪玉菌が増殖。有害物質が増えてガス(おなら)が大量に発生し、お腹が張るのです。

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)

腸内にガスが多く発生する疾患の中でも、特に患者数が多いのが「過敏性腸症候群」です。

過敏性腸症候群は、「腸に器質的な異常は認められないものの、腹痛あるいは腹部不快感と、それに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態」と定義されています。

命に関わる疾患ではないとされていますが、便秘や下痢、腹部膨満といった症状によって、生活の質(QOL)が著しく低下する病気です。

過敏性腸症候群が原因でお腹が張る

過敏性腸症候群は「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」の4タイプに分けられますが、過敏性腸症候群患者の中には腸にガスがたまる症状で悩む人が少なくありません。

この場合、「分類不能型」に当てはまると考えられます。

過敏性腸症候群でのガス発生に関しては、摂取した食べ物による過剰なガス産生や貯留、内臓の知覚過敏などが原因である可能性が示唆されています(※1)。

また、過敏性腸症候群の患者の中でも、10代の思春期の患者はガス症状を訴える割合が高く、特に女子に多いという報告があります(※2)。

過敏性腸症候群はストレスとの関係が深い疾患として知られ、腹痛や腹部の不快感とともに抑うつ状態が引き起こされるパターンも珍しくありません(※3)。

呑気症(空気嚥下症)

消化管に存在する空気の約70%は、口から入ったものであると言われています。

その要因として、早食いやお喋りしながらの食事によって食べ物と一緒に空気を飲み込むこと、口呼吸などが挙げられています(※4)。

それとともに空気を多く飲み込む要因として挙げられるのが、ストレスや緊張です。

ストレスの蓄積や緊張状態が持続すると、唾を飲み込む回数が増加。同時に空気も飲み込んでしまいます。

飲み込んだ空気は大半がゲップとして排出されますが、ゲップを我慢した場合、空気は腸へと移動。ガスへと変化し、お腹が張る原因となります(※5)。

呑気症が原因でお腹が張る

こういった症状は「呑気症」あるいは「空気嚥下症」と呼ばれ、腹部膨満感だけでなく頭痛や肩こり、抑うつ状態などの随伴症状が認められています(※6)。

機能性ディスペプシア

胃や腸の器質的疾患や、糖尿病をはじめとした全身性疾患などの原因がないにもかかわらず、腹部膨満感や胃もたれ、食欲不振といった症状が慢性的に表れる疾患が「機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)」です(※7)。

過敏性腸症候群と同様、機能性ディスペプシアは命に関わる疾患ではありません。しかし、患者のQOLに大きな影響を与える疾患であることは間違いないでしょう。

機能性ディスペプシアの発症要因は多種多様で、遺伝や心理的経験、アルコールの摂取、喫煙、食事内容、腸内細菌叢の乱れ、睡眠不足、ストレスなどが考えられています(※8)。

腸閉塞(イレウス)

「腸閉塞(イレウス)」は、腸の先天的な異常や、未消化の食べ物の塊といった腸の内容物の詰まりなどによって腸管がふさがれる疾患です。

腸閉塞になると、便だけでなくガスも体外へ排出できなくなるため、腹部膨満や食欲不振、痙攣性の腹痛といった症状が表れます。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸などの消化液が食道に逆流することで食道粘膜に障害をきたした状態で、日本での有病率は10%程度と推定されています(※9)。

中高年に多い病気とされていましたが、近年は食生活の欧米化やストレス過多などで若年層でも発症率が増加しています。

逆流性食道炎の代表的な症状として挙げられるのが、お腹の張りや胸やけ、胃もたれ、胸の痛みです。

逆流性食道炎は再発しやすい疾患であり、放置すると食道がんなどのリスクを高めることが指摘されています。

女性ホルモンの変動

女性ホルモンの変動も、お腹が張りやすくなる大きな要因です。

女性ホルモンの「エストロゲン」が減少する生理前は、月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS)の症状の一つとして腹部膨満感が起こりやすくなります。

女性ホルモンの変動が原因でお腹が張る

腸内細菌異常増殖症候群 (SIBO)

「腸内細菌異常増殖症候群」は、小腸の内容物が正常に動かないために腸内細菌が異常に増殖する疾患です。

小腸内にガスを発生させて腹部膨満を引き起こすほか、増えすぎた細菌が栄養素を過剰に消費するために体重減少や下痢、吸収不良といった症状が表れます。

胃潰瘍

胃潰瘍ができると、胃酸の分泌量が減少して消化不良を発生させる場合があります。

未消化の食べ物が腸へ運ばれ、腸管内で食べ物の腐敗・発酵が進むとともにガスが発生。お腹の張りを感じやすくなります。

※1:藤井靖, 関口敦, and 安藤哲也. "腸管ガスに関連する症状を主訴とする病態と治療法の研究の動向." Jpn J Psychosom Med 58 (2018): 488-497.

※2:島田章, 高野正博, and 松尾雄三. "思春期の過敏性腸症候群患者の心身医学的側面: 特に 「ガス型」 について." 心身医学 30.1 (1990): 41-47.

※3:眞野あすか, and 柿沼由彦. "脳―腸―腸内細菌軸と過敏性腸症候群." 日本医科大学医学会雑誌 19.1 (2023): 53-53.

※4,5,6:木村浩子. "空気嚥下症 (いわゆる噛みしめ呑気症候群) と頭頸部不定愁訴に関する臨床統計的検討." 日本歯科心身医学会雑誌 22.2 (2007): 73-83.

※7,8:木下芳一. "5. 機能性ディスペプシアの診断と治療." 日本内科学会雑誌 105.9 (2016): 1611-1625.

※9:川田研郎, 藤原尚志, and 春木茂男. "GERD 外科治療 up to date." 日本消化器病学会雑誌 120.2 (2023): 145-152.

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お腹が張りやすい食べ物に要注意!ガスがたまっている時に避けるべき食品

お腹が張りやすいのは、普段何気なく口にしている食べ物が原因かも知れません。

食品の中には、腸内にガスを大量発生させるものが数多く存在します。

体内にガスを発生させやすい食品を知って、お腹が張っている時には出来るだけ避けるようにしましょう。

豆類

大豆、ひよこ豆、黒豆などはオリゴ糖を含み、腸内で発酵してガスを生成する可能性があります。

タマネギ

玉ねぎには不溶性食物繊維が豊富に含まれています。しかし、便秘が続いている時には不溶性食物繊維が腸内で発酵して、ガスを生むことがあります。

ニンニク

ニンニクに含まれるフラクトオリゴ糖には整腸作用がありますが、腸内で発酵しやすいという一面も。

腸内環境が悪化している時には、ガスの大量発生を引き起こすことがあります。

ニンニクでガスが発生することも

キャベツ

キャベツにはラフィノースと呼ばれるオリゴ糖が含まれています。

ラフィノースは通常、腸内のビフィズス菌を活性化して腸内環境を良好にしますが、便秘が悪化している場合は腸内で内容物を異常発酵させ、ガスを大量に発生させる場合があります。

ほかにラフィノースが多く含まれている代表的な食品は、甜菜(ビート)やトウモロコシ、ジャガイモです。

リンゴ

リンゴの皮には食物繊維が豊富に多く含まれているため、便通を改善する効果があります。

しかし、腸内に便が滞っている場合は、食物繊維が腸内で発酵しガスを生成。お腹の張りが生じる原因となります。

リンゴでガスが発生することも

ソーダなどの炭酸飲料やビール

ガスを含む飲み物を摂ると、腸内にガスが溜まりやすくなります。

乳製品

乳製品にはラクトース(乳糖)という糖質が含まれていますが、日本人の多くはラクトースを消化できる酵素(ラクターゼ)を持っていません。

その状態を「乳糖不耐症」と呼び、乳糖不耐症の人が乳製品を摂取すると腸内で発酵しやすく、腹部膨満感が起こりやすいことが分かっています。

お腹が張って苦しい時の解消法!パンパンで苦しいお腹を改善

お腹の張りを改善する近道は、便秘を解消することです。

お腹にガスがたまる大きな原因は、腸内環境の悪化にあります。そのため、腸内環境を整えて善玉菌を増やせば、お腹の張りや下腹ポッコリ状態も改善できるでしょう。

  • 腸内環境を整えるための生活習慣

    1. 規則正しい生活を送って体内リズムを一定にする
    2. 睡眠時間をしっかり確保する
    3. 食物繊維が豊富な食べ物を積極的に摂る
    4. 善玉菌と、そのエサとなる成分が含まれた食べ物を積極的に摂る
    5. 適度な運動を心掛ける
    6. 入浴は湯船でぬるめのお湯に浸かる
  • 腸内環境を整えるための生活習慣

しかし、生活習慣や食生活の見直しによって腸内環境を良くするためには、ある程度の時間が必要です。

今すぐお腹の張りを解消できる具体的な方法は下記のページで詳しく紹介していますので、参考にしてくださいね。

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お腹の張りを防ぐために腸内環境を整えよう

今回は、お腹が張る原因や考えられる病気、解消法などをご紹介しました。

お腹の張りは不快なだけでなく、下腹がポッコリして見た目にも影響を与え、憂うつな気分になりますね。

お腹にガスが溜まるのを予防するためには、便秘改善が重要な要素です。この記事を参考に、快適なお通じを目指してくださいね。

お腹の張りを防ぐために腸内環境を整えよう

また、お腹が張る症状の陰には、思わぬ病気が隠れている可能性も…。お腹の張りが続く場合は、一度専門医や医療機関へ相談することをおすすめします。

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