最終更新日:2024.10.01
「最近、おならがよく出る」「おならが臭い」など、おならに関する悩みを抱えている人は少なくありません。
しかし、恥ずかしさから他人には相談しにくく、お腹の張りや不快感にストレスを溜めながら生活している人も多いでしょう。
そこで今回は、おならがよく出る原因やおならが臭くなる理由、お腹のガス抜きに効果的なおなら解消法などについてお伝えします。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
おなら、つまりお腹の中にたまるガスは、約70%が口から飲み込んだ空気とされています。
口から飲み込んだ空気は、ほとんどがげっぷとして排出されますが、げっぷを我慢すると飲み込んだ空気が腸へと下がり、おならとして排出されます。
そして残りの約30%が、腸内で発酵した食べ物から発生したガスです。
それでは、おならが良く出る原因について解説していきましょう。
おならが出すぎる、おならが臭いといった症状の多くは便秘が原因です。
便秘になると、食べた物(内容物)が腸内に留まる時間が長くなります。
また、便秘の人の腸内は悪玉菌が優勢な状態です。
悪玉菌が多い状態で内容物が分解されたり発酵したりすると、有毒ガスが大量に発生しておならが増える原因となります。
早食いの人は噛む回数が少なく、食べ物と一緒に沢山の空気を飲み込んでいます。
話しながら食事をすることが多い人も同様に、食べ物とともに空気を多く飲み込んでいます。
便秘解消に欠かせない栄養素として知られる食物繊維ですが、便秘が続いている人にとっては便秘の症状を悪化させる原因になる場合があります。
食物繊維は小腸で消化されず、大腸まで到達して腸内細菌によって発酵・分解されます。
その際に炭酸ガスや水素ガス、メタンガスなどが生成されてお腹が張ったり、おならが増えたりといった症状を引き起こします。
牛乳をはじめとした乳製品には、ラクトース(乳糖)が含まれています。
ラクトースを摂取することで下痢や腹痛、排ガス増加といった消化不良の症状を起こすのが「乳糖不耐症」です。
乳糖不耐症の原因は、小腸にあるラクターゼ(乳糖分解酵素)の欠乏あるいは欠損であると考えられ、日本人は成人の約98%がラクターゼ欠乏であり、そのうち20%は乳糖不耐症とされています(※1)。
乳糖不耐症の人が乳製品を食べると、小腸で分解されなかったラクトースが大腸に入り、腸内細菌によって急激に発酵されて腸内ガスや乳酸、短鎖脂肪酸を多量に産生します(※2)。
その結果、おならの回数が増えるのです。
ストレスがたまると、無意識に奥歯を噛みしめることが増えて唾を飲み込む回数が多くなります。その際、同時に空気も多く飲み込んでしまいます。
このような症状は「呑気症(空気嚥下症)」と呼ばれ、げっぷやおならが出すぎる原因です。
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、腸管に異常がないにもかかわらず、慢性的に腹痛を伴った下痢や便秘、急激な腹痛、腹部膨満感などの症状が起こる疾患です。
過敏性腸症候群は国際的な診断基準によって「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」の4タイプに分類されています。
このうち、分類不能型にガスでお腹が張る「ガス型」が加えられる場合があります。
※1:近藤孝晴, 奥村直也, and 下内章人. "生体ガスと病気の診断." におい・かおり環境学会誌 48.6 (2017): 402-409.
※2:山田和彦. "炭水化物の消化・吸収・発酵とその利用." 栄養学雑誌 59.4 (2001): 169-176.
おならが臭い主な原因は、腸内環境の悪化によって悪玉菌が増えているためであると考えられます。
ヒトの腸管内には約1000種、100兆個を超える腸内細菌が存在し、腸内細菌のかたまりは腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼ばれています。
腸内細菌叢は、3種類の腸内細菌によって構成されています。
代表的な食べ物 | 作用 | |
---|---|---|
善玉菌 | ビフィズス菌、乳酸菌など | ヒトに有益な作用をもたらす菌 |
悪玉菌 | ウェルシュ菌、クロストリジウムなど | ヒトに有害な影響を与える菌 |
日和見菌 | バクテロイデス・大腸菌(無毒株)・連鎖球菌 | 腸内環境が良い時には善玉菌の味方となり、体力が低下すると悪玉菌になる菌 |
悪玉菌の中で、おならが臭くなる原因になるのがウェルシュ菌です。
ウェルシュ菌は体内でタンパク質を分解・腐敗させて様々な有害物質を産生し、おならの臭いを悪化させます。
自律神経は心拍や呼吸、代謝や消化など体内の様々な機能を、自分の意思とは関係なく自動的に調節する神経系です。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この2つが1日のうちでスムーズに切り替わることで健康な状態が保たれています。
しかし、自律神経は生活習慣や体内時計の変化など、様々な要因によって乱れやすいという一面があります。
自律神経のバランスが崩れると、胃腸の働きも低下して消化不良になり、腸内で食べ物が停滞して発酵・腐敗。腸内環境も悪化して悪玉菌が増殖し、おならの回数が増えるのです。
おならの回数が多い時は、外出先や仕事場で「おならが出るかもしれない」と心配になったり、お腹の張りで不快感が続いたりして集中できないですよね。
次に紹介するのは、おならの回数を減らすのに効果的なガス抜き法です。
即効で効果が期待できるガス抜き法を厳選しましたので、おならが出すぎて困っている時に試してみてくださいね。
腰と背中を蒸気シートや湯たんぽ、蒸しタオルなどで温めると、おならが出やすくなります。
ある研究では、お湯で温めて絞ったタオルをうつぶせの状態で腰背部に10分間貼り付ける「温罨法(おんあんぽう)」を実施したところ、40.8%に排ガス効果があり、47.4%が排便効果を得られました(※1)。
また、温罨法中に排ガスがあり、さらに5~10分後あるいは60分後に再び排ガスがあった例も報告されています(※2)。
おならをすぐに出してお腹の張りを解消したい時は、腰や背中を温めてみましょう。
トイレやデスクで手軽に試せるガス抜き法が、ツボ押しです。
おならを出す効果が期待できる代表的なツボが「天枢(てんすう)」です。
ガス抜きのツボ・天枢
おならがよく出る原因として、腸の蠕動運動が過剰な場合が考えられます。
ペパーミントオイルに含まれるメントールには、腸の蠕動運動を抑制する作用があります(※3)。
そのため、腸が動きすぎておならの回数が多い時はペパーミントティーを飲んで様子を見るのもおすすめです。
ただし、腸の蠕動運動が低下すると便秘の原因となります。飲みすぎには注意しましょう。
※1,2:菱沼典子, et al. "熱布による腰背部温罨法の排ガス・排便に対する臨床効果." 聖路加看護学会誌 4.1 (2000): 30-35.
食べ物の中には、おならが出やすくなる食品があります。
小腸で消化吸収されず、大腸で発酵しやすい糖質をまとめて「FODMAP(フォドマップ)」と呼びます。
FODMAPとは?
おならの回数が多い人は、次に挙げる高FODMAP食品の摂取を控えてみましょう。
お腹の張りが軽減して、おならの出すぎを防ぐことができるでしょう。
高FODMAP食品 | |
---|---|
分類 | 代表的な食べ物 |
野菜 | ネギ、ゴボウ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス、セロリ |
乳製品 | 牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ |
豆系食品 | 大豆、納豆、絹ごし豆腐 |
果物 | リンゴ、スイカ、パパイヤ、プルーン、ドライフルーツ |
穀類食品 | うどん、パスタ、ラーメン、パン、シリアル、トウモロコシ |
※:鈴木秀和. "機能性消化管障害と腸内環境―腸内細菌, 食事因子, 酸, 胆汁酸から―." 日本消化器病学会雑誌 117.10 (2020): 840-855.を基に作成
高FODMAP食品には、食物繊維や乳酸菌など便秘解消に役立つ栄養素が多く含まれています。
しかし、おならが出やすい人や過敏性腸症候群の人にとっては腸を刺激して症状を悪化させる要因となるため、体調に合わせて摂取量を調整することをおすすめします。
FODMAP食品以外におならの回数を多くしたり、臭くしたりする食品が動物性脂質の多い食べ物です。
脂肪が多い肉や加工品などは消化に時間がかかり、腸内で発酵してガスが発生しやすくなります。
お腹が張っている時は、脂質が多い食品を避ける方が良いでしょう。
今回は、おならがよく出る原因や臭くなる理由、即効性が高いガス抜きの方法などを紹介しました。
おならの回数が増える主な原因は便秘、つまり腸内環境の悪化です。
腸内環境を整えるためには、生活習慣や食生活の見直しが欠かせません。
しかし、腸に良い生活や食生活を徹底するのはなかなか難しいものです。
そこでおすすめなのが、腸内に善玉菌を増やす成分を配合したサプリメントの活用です。
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毎日飲むだけなので、面倒な手間がかからないのも魅力です。
絶対に出て欲しくない場面でおならが出るのを防ぐためにも、善玉菌が多い健康的な腸内環境を目指したいですね。
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