最終更新日:2024.11.14
「宿便(しゅくべん)」や「滞留便」という言葉を、見たり聞いたりしたことがある人も多いのではないでしょうか?
「宿便を出すと痩せる」「宿便剥がしはダイエット効果がすごい」など、宿便を出すことで痩せられると言っているネット記事も少なくありません。
そこで今回は、宿便・滞留便の特徴や身体へ与える影響、宿便を出す方法などについて、管理栄養士としての知識を織り交ぜながらお伝えします。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
「宿便」と聞くと、腸の表面にヘドロのように張り付いたり、くぼんだ部分に溜まったりしている便を想像しがちです。
しかし実際には、腸の表面はぬるぬるしているだけでなく、蠕動運動によって出っ張ったりくぼんだりと変化するため、腸内のヒダに便がヘドロのようにこびりついたり、溜まったりする可能性は少ないでしょう。
よくイメージされやすい「宿便」は、実際には腸内にとどまってなかなか排泄されない「滞留便」の方が近いかもしれません。
便が長く滞留すると、悪玉菌が増えることで腸内環境が悪化します。腸内環境の悪化は便秘の要因となる他にも、免疫力の低下を招くことで身体に様々な悪影響を与えます。
便は腸内にとどまる時間が長いほど黒くなる傾向があるため、宿便・滞留便も濃い茶色や黒っぽい色をしていることが多いようです。
色以外の特徴としては、腸で長い時間水分が吸収されることで硬くなる、腸内環境の悪化により悪臭が強くなるといった傾向があります。
「宿便」でネット検索すると「宿便は嘘」という情報を見かけることがあります。
しかし、「宿便」という言葉は医学用語として使用され、「宿便性腸閉塞」や「宿便性閉塞性大腸炎」といった疾患も存在しています。
病名として使われる「宿便」は、S状結腸や直腸などに長期間存在して硬くなった便塊のことを指し、ヘドロのような形状の便としては使われていないようです。
また、「大腸憩室」(大腸の壁の一部が外側に飛び出してくぼんだ部分)に詰まった便も「宿便」と呼ばれる場合があります。
大腸憩室に便が詰まると便秘になりやすくなるだけでなく、「大腸憩室炎」という炎症を起こしたり、出血したりする可能性があります。
佐藤内科クリニック 院長 佐藤祐邦
大腸憩室は上行結腸(右腹)やS状結腸(左下腹部)に好発するため、憩室炎になるとその部分の疼痛が出ることがあります。
憩室の有無などは大腸内視鏡検査で確認することができます。また、検査前処置による下剤でほとんどの便が流れるため、一度綺麗にリセットされます。
「宿便剥がしで痩せる方法」「宿便剥がしで即効ダイエット」など、宿便を出す=痩せると認識させる情報がネット上でも多く見受けられますが、宿便を出すと本当に痩せるのでしょうか?
確かに、宿便を出すと体内の水分が減るため、一時的に体重は減少します。
また下腹ぽっこりも解消されるので、見た目にはスッキリした印象になるかもしれません。
しかし、脂肪が燃焼したわけではないので実際に痩せた訳ではありません。
腸内環境の悪化と肥満には深い関係があることが報告されています(※)。
そのため、宿便・滞留便を出し腸内環境を整えることで、ダイエットが成功しやすい体質になることが期待できるでしょう。
滞留した便を出そうと下剤(便秘薬)を日常的に服用していると、腸が黒っぽく変色する「大腸メラノーシス」という状態を引き起こすことがあります。
大腸メラノーシスになると腸の動きが鈍くなり、薬の効果を感じにくくなります。
そうなると薬の量がさらに増え、ますます腸の動きが鈍くなるといった悪循環に陥る可能性も。
大腸メラノーシスは薬の服用をやめると次第に改善するため、生活習慣や食生活の見直しによる改善や、薬のような副作用の心配がないサプリメントを活用して健康的な腸内環境を目指しましょう。
※宮本潤基. "食と腸内細菌 腸内環境変化がエネルギー代謝調節に及ぼす影響." 化学と生物 60.1 (2022): 15-21.
「ぽっこりお腹が気になる…」腸内環境を整えて、宿便・滞留便を改善する方法 >>詳しく見る
次は、宿便・滞留便をきれいに出す効果が期待できる食べ物・飲み物をご紹介します。積極的に摂って、毎日快便を目指しましょう!
一度水を沸騰させてから50℃程度まで冷ました飲み物が「白湯」です。
白湯には内臓を温めて、動きを活性化させる作用があります。
梅干しには胃腸の動きを活発にする「クエン酸」や、排便をスムーズにする水溶性の食物繊維「ペクチン」、便を柔らかくして排出しやすくする「マグネシウム」など、滞留した便を出すのに効果的な成分が含まれています。
こんにゃくの主成分であるグルコマンナンは食物繊維であり、こんにゃくに含まれる水分とともに便を適度な柔らかさにして、排便しやすい状態にします。
また、グルコマンナンは腸内細菌のエサとなるため、善玉菌を増やして腸内環境を整える作用も期待できます。
ゴボウには、オリゴ糖と食物繊維が豊富に含まれています。
ある研究では、オリゴ糖を摂取した場合、腸内に善玉菌が増加して腸内フローラのバランスが改善され、大腸内pHが低下して糞便が柔らかくなるという結果が明らかになりました(※1)。
また、オリゴ糖は胃や小腸で分解されずに大腸まで届き、腸内腐敗菌の増殖を抑えて下痢・腸炎を予防するほか、腸内環境を清浄化して大腸がんの予防にもつながることが分かっています(※2)。
※1,2:光岡知足. "腸内フローラの研究と機能性食品." 腸内細菌学雑誌 15.2 (2002): 57-89.
宿便・滞留便による不快感や下腹ぽっこりを防ぐためには、腸内環境を整えて便の滞留を予防することが大切です。
そのためには生活習慣や食生活の見直しが欠かせませんが、腸に良い毎日を送るのはなかなか難しいものです。
そんな時に頼りになるのが、善玉菌を増やす成分が配合されたサプリメント。
手っ取り早く腸内環境を整えられるので、忙しい日々の中でも手軽に腸活できます。
自分に合った方法で、無理なく理想的な腸内環境を手に入れましょう。
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監修者
佐藤内科クリニック
院長
佐藤 祐邦
■経歴■
医学博士。福岡大学医学部卒業、福岡大学病院での臨床研修医を経て、福岡大学筑紫病院及び関連病院等で内科・消化器内科医として勤務。2023年に『佐藤内科クリニック』を開業。
佐藤内科クリニック
■資格・所属学会■
医学博士
日本内科学会 認定内科医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化管学会 胃腸科認定医・専門医
抗加齢医学会 抗加齢専門医
緩和ケア研修修了医
難病指定医