最終更新日:2024.9.17
便秘が続くと、腰が痛くなることがあります。
便秘と腰痛は無関係に思えますが、場合によっては全身の健康状態にも影響を及ぼす可能性も…。
そこで今回は、便秘で腰が痛くなる理由や、腰痛にならないように便秘を解消する方法などについて解説します。
便秘が続いている人や、便秘が原因の腰痛で悩んでいる人はぜひ試してくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
便秘が続くと腰が痛くなる理由は、腸と腰の関係性にあります。
便秘になると、腸内に滞留した便から有毒ガスが大量に発生します。
発生したガスは、背骨や腰の神経を圧迫。そのため、腰が痛くなるのです。
便秘で悩んでいる人の多くは、女性や高齢者です。
女性や高齢者が便秘しやすい理由の一つに、排便に必要な腹筋力が弱いことが挙げられます。
腹筋力が弱いと体幹も安定しません。体幹が安定しないと、腰に負担がかかりやすくなります。
そうして便秘と腰痛が引き起こされるのです。
不規則な生活が続いたり、ストレスがたまったりすると自律神経のバランスが崩れやすくなります。
自律神経が乱れると、本来とは違う時間帯や環境で交感神経が優位になり、心身の緊張状態が持続。
血管が収縮して血流が悪化し、腰痛を起こしやすくなります。
また、通常は夜になると副交感神経が優位になって、就寝中に腸の蠕動運動を促進。
翌朝の排便につながります。
しかし、自律神経が乱れていると就寝時間になっても交感神経が昂った状態が続き、寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりします。
その結果、便が腸内を移動できずに便秘が引き起こされるのです。
冷え性の発症原因は自律神経の乱れや環境的な要因とされ、日本人女性の2人に1人が冷え症を自覚しているといわれています。
冷え性の主な症状は手足の冷えですが、他にも様々なマイナートラブルが起こります。
便秘と腰痛も、冷えによって引き起こされることが多い症状です(※)。
※中村幸代. "「冷え症」 の概念分析." 日本看護科学会誌 30.1 (2010): 1_62-1_71.
病気の症状の一つとして、便秘と腰痛が引き起こされている場合があります。
便秘と腰痛が同時に起こることが多いとされている代表的な疾患を挙げていきましょう。
長期にわたって便秘と腰痛が続いている人は、自己判断で市販の便秘薬や痛み止めを服用せずに、専門医や医療機関へ相談することをおすすめします。
腰の右側だけ痛い時や激しい腹痛がある場合は、急性虫垂炎(盲腸)が原因かもしれません。
急性虫垂炎は、糞石(便のかたまり)や異物によって虫垂が炎症を起こす病気であり、便秘や腸内環境の悪化、暴飲暴食、不規則な生活など様々な原因で発症するといわれています。
椎間板ヘルニアは、背骨の間でクッションのような役割をする椎間板が突出し、神経を圧迫して痛みやしびれなどの症状を引き起こす疾患です。
特に腰骨(腰椎)で起こることが多く、重症化すると直腸機能が低下して便通異常を引き起こします。
腎臓から尿道までの尿路に結石ができると、左右どちらかの背中から腰にかけて強い痛みが出たり、便意に似た腹痛が起こったりします。
結石ができやすくなる原因の一つとして、便秘薬(下剤)の常習的な服用が指摘されています。
子宮内膜症の女性は、月経時以外でも生理痛のような腰痛に悩まされることが多いと言われています。
子宮内膜症が子宮と大腸の間に発生している場合は、排便時に激しい痛みを感じることが少なくありません。
また、排便時の痛みを避けるために便意を我慢し続けると、次第に便意を感じなくなります。
すると、腸内に滞留した便が硬くなって排出しにくい状態に。
硬い便を出そうとすると、肛門に激しい痛みが走ったり、切れたりすることも。
ますます出すのが怖くなる…といった悪循環に陥ってしまうのです。
大腸がんは、ほとんど初期症状がありません。
しかし、大腸がんが左側にできて症状が進行すると、便秘や下痢などの便通異常だけでなく、腰や背中が痛くなることがあります。
痛みが1カ月以上続く場合は、注意が必要でしょう。
便秘による腰痛を解消するのに効果的なのが、生活習慣や食生活の改善です。
市販の便秘薬を飲み続けると、量を増やさないと効かなくなったり、大腸メラノーシスという大腸の黒ずみを引き起こしたりします。
たとえ即効性はなくても、生活習慣や食生活を見直すことで腸内環境が整い、自然なお通じを実感できるようになるでしょう。
起床時間や就寝時間、食事のタイミングなどを毎日同じ時刻に揃えることで体内時計が正常に動くようになり、自律神経が整います。
自律神経がバランス良く働くようになると、腸内環境の改善だけでなく、睡眠の質も向上するでしょう。
おすすめなのが、目覚めてすぐに太陽光を浴びること。
朝日を浴びると体内時計がリセットされて、自律神経が整いやすくなります。
リラックス効果が高いヨガのポーズや、体をねじる動きのストレッチなどを寝る前に行うのもおすすめです。
ヨガの安眠効果で副交感神経が優位になって腸の蠕動運動が促進され、ストレッチによる腸への刺激が翌朝のスムーズな排便を促すでしょう。
脂質は分解・消化に時間がかかり、腸内に悪玉菌を増やす原因になります。
悪玉菌が増加すると、腸内環境は悪化。
便秘を引き起こしやすくなります。
便秘気味の時は、脂肪分が多い食べ物は控えめに。
カフェインやアルコールには強い利尿作用があるため、腸内にある便の水分を過剰に吸収して便を硬くし、排出しにくくします。
また、寝る前にお酒を飲むと眠りを浅くなり、睡眠の質が低下する原因となります。
睡眠の質が悪くなると、腸内環境も悪化。ますます便秘がひどくなります。
野菜や果物、穀物といった食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取することが、便秘解消や予防に効果的です。
ただし、何日間も便秘が続いている人や過敏性腸症候群の人は、不溶性食物繊維の摂り過ぎで便秘が悪化する可能性があります。
その場合は、水溶性食物繊維を含んだ食品を食べましょう。
生活習慣や食生活を改善するのが難しい、あるいは面倒に感じる人も多いでしょう。
そんな時に役立つのが、善玉菌であるビフィズス菌や、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖などを配合したサプリメントです。
手間をかけずに腸内環境を整えたい場合は、こういった腸活サプリを活用してみてはいかが。
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今回は、便秘で腰が痛くなる理由について解説しました。
便秘や腰痛は、市販薬の服用やマッサージなどその場しのぎの方法で症状を緩和して、放置されることが多い症状です。
しかし、悪化すると全身の健康状態に影響を及ぼすだけでなく、思わぬ重篤な事態を招く可能性もあります。
そうならないためにも、生活習慣や食生活を見直して根本的な対策をとることが大切です。
便秘や腰痛の症状で苦しまないためにも、腸内環境を良くする生活を心掛けたいですね。