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便秘で吐き気が起こる原因は?嘔吐や頭痛と便秘の関係は?

最終更新日:2024.5.10

便秘で吐き気が起こる原因は?嘔吐や頭痛と便秘の関係は?

便秘になると、お腹の張りやおならの増加、肌荒れなど全身に様々な不調が表れます。中には吐き気を催したり、実際に吐いてしまったりする人もいるかもしれません。

そこで今回は、便秘で吐き気が起こる理由や対処法、便秘が原因の吐き気を予防する方法などについて解説します。

便秘による吐き気や頭痛で悩んでいる人は、症状を改善する参考にしてくださいね。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士

便秘の症状とは?便秘で健康寿命が縮む?

便秘が続くと、下腹部に重さや張りを感じて不快な気分になりますね。また、いつ便意に襲われるのか分からない不安感でいっぱいになり、仕事やイベントに集中できない人も多いでしょう。

便秘の症状とは?便秘で健康寿命が縮む?

ところで、皆さんは何日以上お通じがないと「便秘だ」と思いますか?

実は、便秘には「○日以上出なければ便秘」といった定義はありません。そのため、個人によって便秘の基準は異なります。

便秘の基準とは?

とはいえ、ある程度の目安は必要です。医療現場で便秘診療の基本として用いられている「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」としています。

たとえ毎日排便していたとしても、腸に便が残っている感じがある(残便感)、コロコロと硬い便が少量ずつ何度も出るといった場合は、便秘に該当すると考えられるでしょう。

便秘は女性だけのもの?

便秘は女性に多い症状です。その理由として、女性の方が排便時に便を押し出す腹筋力が弱いことや、男性よりも腸が長い傾向にあること、女性ホルモンの影響が挙げられます。

しかし、著しい男女差があるのも60代程度まで。下のグラフを見て分かるように、高齢になるほど、性別に関係なく便秘症の人が増加するのです。

高齢になるほど、性別に関係なく便秘症の人が増加

便秘は危険?生命の危険を伴う可能性も

便秘は身近な症状であり、誰にでも起こり得るもの。それゆえ、特に注目されず放置されている場合が少なくありません。

しかし、便秘症の人とそうでない人の15年後の生存率を比較した米国の研究で、便秘症の人はそうでない人に比べて生存率が2割以上悪化していることが明らかになりました(※)。

また、便秘の人は排便の際のいきみで血圧が急上昇し、くも膜下出血や動脈瘤破裂など脳卒中を発症するリスクが高いほか、慢性腎臓病の罹患率が上昇するとも言われています。

「たかが便秘」と軽く考えて放置すると、健康寿命に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。

※:Chang, Joseph Y MD, MPH1; Locke, Richard G III MD1; McNally, Meredythe A MD1; Halder, Smita L MBBCh1; Schleck, Cathy D BS2; Zinsmeister, Alan R PhD2; Talley, Nicholas J MD, PhD1,3. Impact of Functional Gastrointestinal Disorders on Survival in the Community. American Journal of Gastroenterology 105(4):p 822-832, April 2010.

便秘で吐き気が起こる原因は?嘔吐や頭痛が引き起こされる場合も!

便秘が続くと、吐き気を催したり、実際に嘔吐してしまったりする人がいます。次は、その原因について解説していきましょう。

ガスによる胃の圧迫

便秘になると大腸の動きが悪くなり、腸内で腐敗した内容物から大量のガスが発生します。

発生したガスはおならや呼気として排出されますが、体内にたまったガスは胃を圧迫し、吐き気を感じさせます。

ガスによる胃の圧迫

自律神経の乱れ

便秘と頭痛には、自律神経の乱れが大きな影響を与えています。

生活リズムの乱れやストレスなどで自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になりすぎると、首や肩の筋肉が緊張した状態が続き、緊張型頭痛が起きやすくなります。

交感神経が優位なまま、夕方以降も副交感神経に切り替わらない場合、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする原因に。

腸の蠕動運動は睡眠時の副交感神経が優位な時に促進されるため、十分な睡眠がとれないと便秘を引き起こす大きな要因になります。

こうして交感神経が昂った後に、反動として副交感神経が過剰に優位な状態となる場合があります。

副交感神経の作用で血管が拡張すると、片頭痛が発生。多くの場合、ズキズキとした拍動性の痛みのほかに吐き気を伴います。

自律神経

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便秘とともに吐き気や頭痛が起こる病気に要注意!

病気の中には、便秘と吐き気が症状の一つとして表れる疾患もあります。

便秘と吐き気を引き起こす可能性が高い病気を紹介しますので、思い当たる疾患がある人は早めに医師や医療機関へ相談しましょう。激しい腹痛や発熱を伴う場合は、すぐに病院を受診してください。

腸閉塞(イレウス)

腸閉塞は、何らかの理由によって腸管がふさがれ、内容物が詰まって肛門側へ移動できない状態です。主な症状に、吐き気や便秘、嘔吐、腹部膨満があります。

過敏性腸症候群

日本人の約10%~15%が罹患していると言われている、過敏性腸症候群(IBS)。

3カ月以上にわたって腹痛を伴う便秘や下痢、腹部膨満などの下部消化管症状、悪心や嘔吐などの上部消化管症状など広範囲にわたって症状が表れます(※1)。

過敏性腸症候群

自律神経失調症

自律神経失調症は、器質的疾患がないにもかかわらず頭痛やめまい、不眠、疲労感、便秘、下痢など様々な病態を自覚する症状です。思春期から40代の女性に発症しやすいとされています(※2)。

自律神経失調症では胃の運動機能をコントロールできないため、吐き気が起こりやすくなります。また、消化・吸収能力も低下して便秘傾向に。

化学物質過敏症(シックハウス症候群)

化学物質過敏症は、空気や食べ物を通じて、微量の化学物質に慢性的に接触することによって生じる自律神経、中枢神経、免疫系、内分泌系を中心とした過敏反応による症候群のことです(※3)。

症状は多岐にわたり、便秘や下痢、お腹の張り、吐き気、頭痛、肩・首のこりなど人によって異なります(※4)。

化学物質過敏症(シックハウス症候群)

消化器がん

食べ物の消化に関係する器官に発症するがんの総称が、消化器がんです。消化器がんは高齢者に多く、初期の段階では症状が表れにくいため、進行してから発見されることが少なくありません。

消化器がんの症状として、吐き気や嘔吐、便秘、腹部膨満感、全身の倦怠感などがあります。

逆流性食道炎

便秘が続くと「逆流性食道炎」になりやすいことが指摘されています。

その理由として、便秘で腸内に大量の便が滞留することで腹圧が高まり、胃が圧迫されて寝ている間に内容物が逆流しやすくなると考えられています。

※1:松枝啓. "過敏性腸症候群 診断基準と治療薬の進歩." 日本消化機病學會雜誌. 乙 98.10 (2001): 1146-1153.

※2:東野英明. "自律神経異常に起因する疾病とその対策." 日本良導絡自律神経学会雑誌 51.3 (2006): 94-104.

※3:石川哲. "化学物質過敏症." アレルギー 50.4 (2001): 361-364.

※4:柳沢幸雄. "化学物質過敏症の現状と対応." 紙パ技協誌 59.11 (2005): 1631-1635.

便秘で吐き気や頭痛が起きた場合の対処法!すぐに実践できる対策とは

便秘が原因の吐き気や頭痛は、いつ起こるか分かりません。しかし、対処法を知っておくことで“もしもの場合”でも落ち着いて対応できるでしょう。

便秘によって吐き気や頭痛が発生した際に、すぐにできる対処法を紹介します。

新鮮な空気を吸う

気分が悪くなった時は、すぐに新鮮な空気を吸える場所へ移動しましょう。

移動できない場合は、窓を開けて換気してください。深い呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着かせることが大切です。

横になる

もし横になれる状況であれば、頭を少し高くしてベッドやソファに横たわります。

アイマスクや折りたたんだハンカチを目の上にのせれば、リラックス感が増して気分の悪さが軽減します。

横になる

冷たい水でうがいをする

冷たい水や緑茶、レモン水でうがいをすると口の中がスッキリして吐き気がおさまりやすくなります。

エッセンシャルオイルの香りを嗅ぐ

ヨーロッパでは医療の補助的な存在として親しまれているアロマテラピー。植物などから抽出したエッセンシャルオイル(精油)を用いて、心身の不調を改善するものです。

エッセンシャルオイルには植物ごとに異なる作用があり、中には吐き気を抑えるものやストレスを軽減するものがあります。

ハンカチなどに一滴たらして持ち歩けば、外出先で気分が悪くなってもすぐに気分転換できるでしょう。

エッセンシャルオイルの香りを嗅ぐ

便秘による吐き気や頭痛を予防して健康的な生活を

今回は、便秘が原因で吐き気や頭痛が起こる理由や対処法についてお伝えしました。

便秘が慢性化している大きな要因に、生活リズムの乱れや偏った食生活、運動不足などがあります。

便秘による吐き気や頭痛を予防するためにも、規則正しい生活やバランスの良い食事を摂ることが大切です。

便秘による吐き気や頭痛を予防して健康的な生活を

また、快適なお通じには腸内環境を良くすることが欠かせません。ビフィズス菌や乳酸菌が含まれる食べ物やサプリメントを積極的に摂り、腸内に善玉菌を増やしましょう。

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