最終更新日:2024.3.15
「便意を感じてトイレへ何回も行くのに、少ししか便が出ない」「1日に少量の便が何回も出る」。
そのような症状は「しぶり腹」と呼ばれ、腸の疾患や過敏性腸症候群(IBS)などによって腸の機能が低下している場合に起こりやすい症状です。
そこで今回は、便意があるのに少ししか出ない、もしくは少量の便が何度も出る「しぶり腹」について詳しく解説します。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
しぶり腹は「裏急後重(りきゅうこうじゅう)」や「直腸テネスムス」とも呼ばれ、腹痛を伴う便意があってトイレに行っても便が出ないことを何回も繰り返す、もしくはトイレへ何回行っても少しの量の便しか出ない状態です。
少量の便しか出ないため、排便できたとしても「まだ便が残っている」ような不快感や、「またいつ便意をもよおしてトイレに行きたくなるか分からない」という不安感によって、QOL(生活の質)の低下につながることが珍しくありません。
また、しぶり腹の場合、わずかな量ではあるものの便が出ているため「便秘ではない」と思って特に対策をしない人も多いようです。
しかし、「慢性便秘症診療ガイドライン2017」における便秘の定義「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」に照らし合わせると、便意があるにもかかわらず便が少ししか出ないしぶり腹は「十分量」かつ「快適に排出できない状態」であるため、便秘の状態であると考えられるでしょう。
しぶり腹が引き起こされる原因の多くを占めるのが、大腸の炎症や疾患です。
大腸にできた潰瘍や炎症による刺激を便意と誤って認識することで、何度もトイレへ行きたくなります。
実際に便が溜まっていないにも関わらず刺激によって便意を感じた場合は、トイレに行っても便が出ません。
このケースでは便が溜まっても出ない通常の便秘とは仕組みが異なるため、原因となる炎症や疾患の治療が必要となります。
しぶり腹の原因となる代表的な疾患
また、近年増えているのが「過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)」によるしぶり腹です。
過敏性腸症候群は、大腸の狭窄など器質的な問題がないにもかかわらず、腹痛を伴う下痢や便秘、腹部膨満、ガスの過剰発生といった症状が繰り返し表れる疾患で、4つのタイプに分類されます。
過敏性腸症候群の分類
過敏性腸症候群が発症するはっきりとした原因は分かっていません。
しかし、ストレスや抑うつなどの精神的要因やホルモンの乱れ、食べ物の影響などによって引き起こされると考えられています。
しぶり腹は便秘型と下痢型の両方で起こるため、過敏性腸症候群の治療を行うことで症状が解消されると考えられるでしょう。
※4:八月朔日秀明, 穂苅量太, and 三浦総一郎. "吸収不良症候群における内視鏡検査の役割." 日本消化器内視鏡学会雑誌 56.4 (2014): 1511-1519.
※5:佐藤健太.「下痢・便秘症Ⅰ下痢」日本プライマリ・ケア連合学会誌35.1 (2012): 56-61.
潰瘍や炎症によってしぶり腹になっているときは、医療的な治療が必要です。
しかし、しぶり腹の原因が腸内環境の悪化にある場合は、生活習慣や食生活を見直すことで改善する可能性があります。
これから紹介するのは、腸内環境を整えるのに効果的な生活習慣と食生活です。少量の便が一日に何回も出て困っている人は、今日から実践してみましょう。
睡眠障害は、過敏性腸症候群や逆流性食道炎のリスクを高める要因の一つです。
ある研究では、体内時計を調節する時計遺伝子は大腸に多く存在し、睡眠時間の短縮などの睡眠障害が腸内細菌に影響を与える可能性が高いことが報告されています(※1)。
また、睡眠不足は自律神経の乱れを招く原因です。自律神経がバランスを崩すと、消化活動が低下して腸内環境が悪化しやすくなります。
しぶり腹を治すためにも、夜更かしは控えてしっかり睡眠をとりましょう。
便通改善には食物繊維が含まれた食べ物を摂ることが効果的です。
食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があります。
不溶性食物繊維には保水性があり、便を柔らかくしたり、便の量を増やして腸の蠕動運動を促進したりします(※2)。
しかし、便秘が長く続いているときや過敏性腸症候群の人は、食物繊維の摂取によって腸内にガスが大量発生して腹部膨満を引き起こしたり、便の量が増えて排出が困難になったりする可能性も。
自分の症状によって食物繊維の摂取量をコントロールすることが、腸内環境を整える近道です。
腸内環境を整えるためには、食生活の改善が欠かせません。
しかし、忙しい毎日を送る中で食生活にまで細かく気を回すのは現実的には難しいもの。
そこで、効率良く腸内環境を整えるのに活用したいのが乳酸菌やビフィズス菌などが配合されたサプリメントです。
乳酸菌やビフィズス菌、食物繊維の摂取を考えて食生活を組み立てるのは大変ですが、サプリメントなら手っ取り早く腸内フローラの改善が期待できるでしょう。
※1:入江潤一郎, and 伊藤裕. "睡眠と腸内細菌叢." 腸内細菌学雑誌 31.3 (2017): 143-150.
※2:高橋陽子. "繊維質と食物繊維." 日本食品科学工学会誌 58.4 (2011): 186-186.
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今回は、腹痛ととともに少量の便が出る「しぶり腹」について、原因や対処法を解説しました。
一日に何度も便意を感じてトイレに行っても、そのたびに出るのはわずかな量の便だけ…。
そんな状態が続くと、外出先や仕事場、学校などでも常にトイレのことを気にして過ごす羽目になり、ストレスがたまりますよね。
しぶり腹を解消するためには、生活習慣や食生活を見直して、腸内環境を整えることが大切です。
腸内環境を良くする成分が配合されたサプリメントを活用すれば、忙しい人でも手軽に腸内環境の改善ができるでしょう。
しかし、しぶり腹が長く続く場合は、何らかの疾患が隠れている可能性も考えられます。
しぶり腹とともに腹部の痛みや膨満感など普段とは異なる症状がある人は、速やかに医師や医療機関へ相談して適切な治療を行いましょう。
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