最終更新日:2024.10.02
ダイエットのために食事量を減らしたり、痩せる効果があるといわれる食べものばかり食べたりすると、便秘になることがあります。
便秘のせいで下腹がポッコリして、「ダイエットを始めたら逆に太った」と感じた経験がある人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、ダイエットで便秘になる原因や便秘で太る理由、ダイエット中の便秘対策と解消法などについて解説していきます。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
食品保健指導士・管理栄養士
古本 楓
食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、「便秘」「腸活」についての情報をお届けいたします。
【資格】
・公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
食品保健指導士
・管理栄養士
目次
ダイエットといえば、もっとも手軽な方法が食事制限です。
朝食を抜く、カロリーが高い脂質を極端に減らす、痩せる効果があるとされる食品ばかりを食べるといったダイエット法に挑戦したことがある人も少なくないでしょう。
しかし、今挙げたダイエット法は便秘を引き起こしやすく、却って太る可能性が高くなります。
一回の食事で食べる量を極端に減らすと、作られる便の量も少なくなります。
便はある程度の量がなければ腸内をスムーズに移動できません。そのため、便が腸内に滞留して便秘になります。
さらに、便に含まれる水分が腸管によって過剰に吸収されて排出しにくい硬い便となり、ますます便秘が悪化するのです。
脂肪分(油)はカロリーが高いため、太る原因になるとしてダイエット中は避けられがちです。
しかし、油(脂質)は便が腸内を移動するときの潤滑油として作用するため、極端に脂質を制限すると便の移動が滞り、便秘が悪化する原因となります。
米やパン、麺類など炭水化物の摂取を避ける糖質制限(糖質オフダイエット)は、短期間で痩せられるため、効率的に痩せたい人に人気のダイエット法です。
しかし、炭水化物には食物繊維が含まれているため、糖質制限で炭水化物を食べないと食物繊維不足になって便秘しやすくなります。
ダイエット中は、朝食を食べるのをやめて1日2食で過ごすという人もいます。
しかし朝食を抜くと、前日の夕食から翌日の昼食まで食事をしない時間が長くなり、体が一種の飢餓状態に陥ります。
飢餓状態に陥った体は危険を感じて、昼食で摂った糖質や脂質を脂肪として体に蓄積。太る原因ととなります。
また、朝食を抜くと血糖値が低い状態が続きます。そこに昼食を摂取すると、食べ物に含まれる糖質によって血糖値が急上昇し、上がった血糖値を下げるためにインスリンが過剰分泌されることに。
インスリンには血液中の糖分を脂肪として蓄積する作用があるため、大量に分泌されることで太りやすくなるのです(※1)。
ダイエットのために好きな食べ物を我慢すると、ストレスを感じやすくなります。ストレスがたまると、副腎皮質ホルモン「コルチゾール」が多量に分泌されます。
コルチゾールには食欲を高めたり、血糖値を上昇させてインスリンを過剰に分泌して脂肪をため込みやすい体質に変化させたりする作用があります。
さらに、コルチゾールは食欲を抑制する作用があるホルモン・セロトニンの分泌を阻害します(※2)。
セロトニンの分泌量が減ると過食傾向になり、ドカ食いしたくなる衝動を引き起こして太る原因となります。
また、ストレスの蓄積は自律神経のバランスが崩れる大きな要因です。
自律神経が乱れると腸の動きが鈍くなり、便秘しやすくなります。
※1:戎利光. "健康科学講座-朝食抜きや過激なダイエットによる悪影響." 福井大学教育学部総合自然教育センター年報 2 (1999): 54-57.
※2:厚生労働省「セルフメンタルヘルス ストレスに負けないセルフメンタルヘルス」テキスト
ダイエット中に便秘になる理由についてお伝えしたところで、次は便秘で太る理由を解説します。
便には、体にとって不必要な脂肪分や糖分が含まれています。そのため、便秘になると過剰な脂肪分や糖分がそのまま便とともに腸内に滞留します。
すると、腸内に溜まった便に含まれた脂肪分や糖分が腸管によって吸収され続け、皮下脂肪として蓄えられます。
腸内に滞留した便には、腸内の老廃物など有害なものが含まれています。
そういった有害物の影響で血液がドロドロの状態となり、血行不良に。血行が悪くなると細胞や臓器の働きが悪くなって、基礎代謝の低下を招きます。
基礎代謝量が下がることで、太りやすい体質になってしまうのです。
便秘が続くと腸内に滞留した便が腐敗して有害物質や有毒ガスが発生し、腸内に悪玉菌が増加します。
すると腸内細菌のバランスが崩れ、脂肪の蓄積を防ぐ作用がある短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)を生成する菌種が減少。
その結果、エネルギーの吸収効率に変化が起こり、太りやすくなります。
ダイエット中でも便秘にならず、健康的に減量を目指せる方法を紹介します。
ダイエット中こそ、腸内環境を整えることを意識しましょう!
糖質制限ダイエットを行う場合は、食物繊維不足による便秘を防ぐことが大切です。
玄米や雑穀米、全粒粉など未精製の穀物は糖質量が少なく、食物繊維が豊富に含まれています。
ダイエット中は、白い炭水化物を避けるようにしましょう。
質の良い脂質(油)は、ダイエットを成功させるカギです。
ダイエット中におすすめなのが、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)やオリーブオイル、亜麻仁油、エゴマ湯、ココナッツオイルなどです。
便が出やすくなって美容効果も期待できます。
しかし、脂質であることには変わりありません。カロリーオーバーにならないよう、一日あたりの摂取目安量を守りましょう。
ダイエット中は、野菜サラダなどの食物繊維が多く含まれる食べ物を最初に食べることをおすすめします。
食物繊維を先に摂ることで血糖値の上昇が緩やかになり、脂肪の蓄積を促進するインスリンの分泌量を抑制できることが数多くの研究によって報告されています。
睡眠不足になると、空腹感を増して食欲を高めるホルモン「グレリン」が多く分泌されます。
一方で、食欲を抑制して肥満を防ぐホルモン「レプチン」の分泌量が減少して、太りやすくなります(※1)。
また、睡眠不足によって日中に強い眠気を感じることが多くなり、エネルギー消費量が低下して肥満を招きます(※2)。
口の中には、約600種類以上、約1兆もの細菌が存在しているとされています。その細菌数は腸内に次ぐ多さです。
口腔細菌の中には、唾液や食べ物と一緒に飲み込まれ、腸管まで届く菌がいます。
虫歯(う蝕)や歯周病などで口腔環境(口腔内フローラ)が悪化していると、歯周病菌が腸管まで移動し、腸内環境を悪くすることが分かってきました。
そのため、ダイエットを成功させるためには虫歯や歯周病を治して、口の中の環境をキレイにすることも大切なのです。
※1,2: 宮崎総一郎, 北村拓朗, and 野田明子. "睡眠からアプローチする認知症予防." 日本耳鼻咽喉科学会会報 122.12 (2019): 1475-1480.
今回は、ダイエットしていると便秘になる原因や、便秘で太る理由、ダイエット中の便秘解消法などについて紹介しました。
便秘は太りやすくなるだけでなく、ガスが溜まってお腹が苦しくなったり、体臭や口臭がクサくなったりする要因でもあります。
効果的に痩せるためには、腸内環境を整えることが大切です。
自己流ダイエットで何度も失敗してきたという人は、まずは腸内環境を良くすることを目指してみませんか。
手軽に腸内環境を良くしたいなら、善玉菌であるビフィズスやビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖が配合された腸活サプリの活用がおすすめです。
ダイエットをしても痩せにくい、効果が出ないと悩んでいる人は、腸内環境に意識を向けてみると良いかもしれません。
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